「うー、あ」
「…………………」
どうするんだ、この状況。
(ハロー!I am baby)
ぺちぺちと俺の顔を叩きながら楽しそうに笑ってる目の前のお子様…というよりは赤ちゃん?を抱えてどうするべきか考えた。
「って、考えたって全ッ然わかんねー!」
「相変わらずうるせぇやつ、」
「うおぁっ!?さ、堺さん!!…………堺さん?」
いきなり現れて何だと思ったら堺さんはそのままピタリと動かなくなった。視線の先には…俺の両腕?
「…おま、子ども連れ込んでんじゃねぇよ」
「…………え?」
言われて思わず両腕で抱えていたものを見つめる。
「ち、違うっスよ!!俺の子じゃないっス!!」
赤ちゃんを堺さんに押し付けながら首をぶんぶん振って必死に否定。大体彼女もいないのに赤ちゃんなんてあり得ない…(なんか言ってて悲しくなってきた。俺って…)
そんな俺の心境なんてどこ吹く風ってなぐらい、腕の中のお子様はイイ笑顔で赤ちゃんらしくない発言をした。
「さかにゃん」
「「は、」」
さかにゃんって…もしかしなくても堺さん、のことだよな?さかにゃんって、さかにゃんってガラでもないだろうに…!
「痛っ!?何スか!!」
「お前、今失礼なこと思っただろ」
う、鋭いな…さすが堺さん。じゃなくて!
「えーと、さかにゃんってこの人のこと…?」
恐る恐るそう聞けば、赤ちゃんは監督がたまにするようなイヤーな含み笑いを浮かべた。この歳でなんでそんな顔できるんだよ!
なんて冷や汗垂らしながら思っていたら今度は俺を指差して言い放った。
「世良」
「ぶっ!」
「ちょ、何笑ってんスか!!確かに俺は世良だけど!」
さっきまでの舌足らずなしゃべり方は何だったんだってツッコミたくなるぐらいしっかりはっきり俺の名前を呼んだ。呼び捨てで。ん…っていうか、あれ?
「何で俺の名前知ってんだろ?」
俺ってこんな小さな子まで名前を知ってるぐらい有名になってたってこと!?
「俺が知るかよ。そんなことよりどうするんだよ」
堺さんに言われて思い出した。状況は大して変わってないし…結局どうすればいいんだよ、俺!!
(って、俺の責任なんスかね…?)
(お前が第一発見者だろ)
END