今日もいい天気だ。休日に街をぶらぶらするのにはもってこい。それなのに。
「人間風情が作ったものなんて食いたくないね」
たまの休みに知人の顔を見に行ってやるか、と思った俺が悪かったのか?
「はぁぁぁ?人がせっかく作ったものをなんてこと言いやがりますかこの男。それとも何?猫舌だからフーフーしてあげないと食べれないんですか〜それはそれは気がつかなくて失礼しました〜」
知った顔同士の喧騒が目に入る。またこいつらか、とか思わなくともない。フォビオとなまえだ。
「こいつ…!言わせておけば、あつっ!?」
「食べ物を粗末にする人は許しませーん」
なまえに無理矢理あーん、とさせられているフォビオの図はなんかちょっと不憫なんだが正直面白いからもう少し様子を見てよう。
というか食べ物をべっと吐き出したりせずにちゃんと食べてるあたり、フォビオもいい奴なんだけどな。多分なまえ相手には売り言葉に買い言葉的なやり取りになってるだけで。見てるだけでも良かったが、一応フォローに入っておくか。
「大丈夫かフォビオ。口の中、火傷したんじゃないか?」
「リムル様。いや、大丈夫だ」
うん、フォビオは冷静というか落ち着いてるな。ってことはやっぱりなまえか。くるっと振り向いてジト目で見つめてやると流石に気まずそうに目を逸らす。
「言い訳があるなら聞いてやるけど?」
「う…」
言おうかどうしようかかなり迷ってるみたいだな。もう一押し必要か?
「一応、フォビオはユーラザニアからのお客さんだからな。うちとは友好関係にある国の住人だ。無闇矢鱈に喧嘩腰ってのはいただけないな。分かるだろ?なまえ」
前世でそれなりに社会経験を積んでるはずのなまえだから、そこまで言えば俺の言いたいことは伝わると思うんだけど。
「…だって、普通にしてたって相手してもらえないもん。強くないし、めちゃ美人でもスタイルいいわけでもないし…」
まぁ本人たちの想いはどうあれ、フォビオの周りはスタイル抜群のアルビスもいるしそれでなくてもうちは綺麗どころも多い。その他大勢に埋もれないためのなまえなりの努力というか工夫なのかもしれないが…空回りしてたら意味ないと思うぞ。フォビオだってポカンとしてるじゃん。
「…だ、そうだけど」
お前はどうなん?と含みを持たせてフォビオを振り返る。
「俺は、別に…普通の態度にしてもらえたら普通にする。まぁ、なんだ。なまえに…キツいこと言ったのは、俺も悪かった」
フォビオ…お前すっかり大人になって…!ちょっと俺感激しそうなんだけど。いやいや、いい雰囲気だから空気読んどこう。
「あ、あの、わたしもごめんなさい。えっと…仲良くしてくれる…?」
「まぁそりゃあ別にいいけど…」
「やった!ねぇねぇこのスープ美味しかった?また食べたい?」
フォビオの反応を見るや否やなまえの変わり身の速さといったら。まぁ、俺は空気を読むいいスライムだからな。二人がいい感じの雰囲気を続けていけそうだからさっさと退散することにしよう。
END