再び透が目を覚ましたのは、跡部の自室だった。天井からぶら下がるシャンデリアの灯りに、自然と目が細くなる。


「おえ、気持ち悪…」
「…ああ、目が覚めたか」


ぐらつく体を無理矢理起こすと、そのすぐ隣で跡部が椅子に優雅に腰掛けながら紅茶を飲んでいた。透は黙っていれば本当の王様みたいなんだけど、と胸中で呟く。


「大丈夫か?」
「まだちょっと気持ち悪いけど…まあ、大丈夫だよ」
「そうか、なら、いい」


そう言うと跡部は盛大に溜め息を吐いた。その様は心底心配した、とでも言うようで、透は自然と微笑んでいた。


「心配かけてごめん」
「お前は悪くねえ。…悪いのは、手塚だ!」
「…は?」


あまりにも検討違いな事をいう跡部に、透は思わず目を白黒させた。そんな彼に気付かないのか、跡部は続ける。


「やつは越前にお前を部室まで誘導させ、乾を使う事によりお前を潰そうとしたに違いない。」
「………えっと…」
「絶対そうだ。俺様の眼力に間違いはねえ」
「…いやあると思うよ色々とね」


ぎゅっと拳を握り締める跡部に、透は溜め息と共に小さく呟いたが彼に届く事はなかった。


「手塚くんまじでごめん」










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テーマ「人外ファンタジー」
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