2月14日、今日は世間一般に言うならバレンタインデー。い、一応彼女がいる俺としては期待しないわけがない、し…やっぱり、彼女の気持ちがこもったモノが欲しいなあなんて思う。だけどこんな日だっていつものように練習はあり、その上遅くまで、じゃあ電車に乗らなければこっちにこれない彼女を呼ぶ事も出来ないし行く事も出来ない。監督は酷い、なんて思ったところで何にもならないんだけど。


「、あれ、ナツさんそれ…」
「ん?これか!」


休憩中、ナツさんが腕にミサンガをしているのをみつけた。それは昨日まで無かった物で、少し不恰好だ。俺がそんな事を思っていると、ナツさんは照れながら、だけど誇らしげに、「娘が作ったんだ!」と叫んだ。俺は羨ましいなあ、と思いながら「すごいッスね」と笑った。俺もあの人からもらいたかったな。やっぱり今日もらうっていうのは、…気持ちが違うって言うかなんていうか。モチベーションが変わる気がするんだ。そんな話を世良さんとしてたら、「お前彼女いるくせに贅沢過ぎだ!」と怒られてしまった。


その日の夜、やっと終わった練習からくたくたになって家に帰ると、玄関の前に人影が見えた。ま、まままさか幽霊じゃ…だけどそんな俺の考えは一瞬で消えた。


「大介くん!」
「…え、なまえちゃん!?」
「お帰りなさい、お疲れさま」
「え、え、なんで…ってか何時から…」
「1時間くらい前かなあ…やっぱり今日渡したくて」


そう言って彼女は照れ臭そうに笑った後、小さな紙袋を持ち上げた。うわあ、俺と、同じ気持ちだったんだ。なんだか胸の奥から何か暖かいモノが込み上げて、気が付いたら俺はなまえちゃんを抱き締めていた。


「うぇっ、だだだ大介くん!?」
「ありがとう、寒いのにずっと待っててくれて…!」
「そんな…私が勝手に押し掛けたのに」
「ううん、来てくれて嬉しかったんだ」
「…そっかあ、よかった」


前に俺が可愛いね、似合ってるって言ったもこもこのコートを着ていた彼女だけど、抱き締めるとやはり冷えているのがわかった。こんなになるまで待っててくれたんだ。

「えと、その、さ」
「なに?」
「外、寒いからお、おおおお俺の部屋に、」
「うん、でも私これ渡したら帰るつもりだったし、」
「や、だだ駄目だよ!こんな時間だし危ないから!」
「…うん、じゃあ今日はお泊まりさせてもらおうかな」
「うん、…って、えええええ!?」


そう言ったなまえちゃんはふんわり微笑んでから、俺の頬に触れた。


「真っ赤だね、大介くん」





純情ラブシーン











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