ラブソングは止まらない続編





わたしたちは二人揃って無事、早乙女学園のAクラスに合格した。
それから幾日もたって、ついに訪れた入学式の日。長くて、だけど一生忘れないようなインパクトのある入学式も終わり、わたしと一十木くんは教室まで歩いていた。


「凄かったよなあ…入学式のあの学園長の挨拶…」
「ほんと伝説のアイドルって感じだったね」


教室に入っても教室の皆が学園長先生の話や、担任の先生の話などで盛り上がっていた。一十木くんは既に友達を作っていたみたいで、わたしを彼らのところまで連れていってくれた。


「マサ!那月!」
「一十木、…そちらの方は?」
「わあ、可愛らしい人ですねえ」
「え、あ…みょうじなまえです。作曲家志望で…よろしくお願いします」
「聖川真斗だ、よろしく頼む」
「僕は四ノ宮那月と言います。よろしくお願いしますね」


アイドル志望だという二人は一十木くんみたいにキラキラと輝いていて、とても眩しかった。その後すぐに担任の先生(なんとあの月宮林檎だった!)が教室に入ってきて、自己紹介が始まった。一十木くんはギターと共に歌を歌うらしい。流れたのは、あれ、わたしの作った曲…?


「んまあ、伸びやかな歌声。…それに、いい曲ねえ」
「ありがとうございます!この曲はみょうじが作った曲で…」
「みょうじ?みょうじなまえさんね、じゃあ次はアナタの番よっ」
「…え!?」


いきなりの事に、わたしは驚いて思わず席を立ってしまった。月宮先生はにこにこしているし、一十木くんはぐっと親指を立てている。教室中の視線も一斉にわたしに突き刺さって、緊張の余り手が震えた。


「あ…作曲家志望、の…みょうじなまえです。その、よ、よろしくお願いします…!」


そう言い切った後、わたしはほっと溜め息を吐いて腰を降ろした。
そして全員の自己紹介が終わった後、パートナーを決める事になった。アイドル志望の人と、作曲家志望の人とで組んで卒業を目指すらしい。
わたしが一十木くんの方を見ると、既に作曲家志望らしい人たちが彼を囲っていた。一十木くんはわたしの視線に気付いているようだけど、抜け出せないみたいだ。


「あ、みょうじ…っ」
「みょうじ、先程の一十木の歌っていた曲なのだが…」
「なまえちゃん、さっき音也くんの歌っていた曲なんですけど…」
「え、聖川くん、四ノ宮くん」
「あの曲は素晴らしかった。是非俺のパートナーになってはくれないか。」
「ああっ、真斗くんずるいです!なまえちゃん、僕じゃ駄目ですか?」
「ええ!?」


突然の事に驚くわたしを他所に、目の前の二人はわたしの手を取って見つめあう。どうしよう、わたしは一十木くんと…でも一十木くんにはあんなにパートナーになりたいって人がいる。わたしなんかより、ずっと凄い才能のある人たちが。わたしはそっと顔を俯かせた。


「っ、駄目!ぜっっったい駄目!マサも那月も、みょうじは俺と組むんだから!」


そう叫んだ一十木くんに、騒がしかった教室はしん、と静まり返った。一十木くんは顔を真っ赤にして大股でこちらまで歩いてくると、聖川くんと四ノ宮くんの手をわたしから外してまた叫んだ。


「俺はみょうじとしか組む気はないし、みょうじも俺としか組まないって決めてるんだ!」


無意識なのか、ぎゅっとわたしを抱き寄せる一十木くんを見て、わたしはこの状況についていかない思考に蓋をし、赤く染まった顔を誰にも見られないように、両手で顔を覆った。
どくどくと高鳴っているのは、わたしの心臓と、一十木くんの心臓。





「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -