※パロディ
この地球はいつからこんなにも汚れたのか。昔、地球は青かったなんて言われていたらしいけど、今は全くそんな面影は見えない。水道水が飲めたというのも本当か疑わしい話だ。
そんな中で生活していれば当然わたしたちの寿命も縮まるもの。そうなると将来も悲観的になっていくのが若者たち。わたしは今年十八になったばかりだけど、今の時代十八は年増扱いされるものだ。後数年もすればこの汚染された環境化に耐えきれなくなって死んでしまうのだろう。
「ねえトキヤ、やめなよー」
「何をです」
「歌うの、やめなよ」
「何故?」
崩れた瓦礫の上で歌うわたしの幼なじみと、それを見守るわたし。息をする度にむせかえりそうになって気持ち悪い。
「何故って…歌ってたら余計に肺汚すよ」
「構いません、好きでしている事ですから」
「でも」
「私は、何もせずに死にたくはない」
そう言ってまた歌い出すトキヤを、わたしは止められなかった。
何もかも諦めたわたしと未だ夢を追い続けるトキヤ。わたしはトキヤを止めたい、そんなの早死にするだけだって。だけど無理にでも止めないのは、わたし自身そのトキヤの歌に救われているからだろう。
「げほっ…トキヤ、」
「…今度はなんです?いい加減家に戻りなさい、苦しいんでしょう」
「やだ。あのね、…わたしも歌っていい…?」
「…死にますよ」
「いい、もう長く生きられないのなんてわかってるし」
それはトキヤも同じ事だ。どちらが先に死ぬか。そんなの、誰にもわからない。
頭が割れるように痛い。この空気を吸い過ぎたみたいだ。肺がつきつきと、痛みを主張している。だけどわたしも歌う。
「………は、」
「…トキヤ?」
「っ、なんでも、ありません…」
顔を真っ青にしたトキヤはそれでも歌い続ける。その首筋から、浅黒い斑点が見えた。それはこの時代の死病だ。
「っ、トキ、ヤ」
「ごほっ…げほ、なん…です…」
「ずっと、傍にいるからね…っ」
「…それはまた、嬉しい言葉を」
わたしは歌う。トキヤの背にしがみつきながら。離したくない、傍にいたい。言いたい事もたくさんあるのに。
わたしたちの歌声は、空虚に響き渡った。