窓の外で、鋭い光が走った。それからすぐに耳をつんざくような音が響く。その度に、俺の腕の中で震えるなまえは、びくっと体を跳ねさせた。


「大丈夫だ、俺がいる」
「ん、真斗…っ、こわ、恐い、よ…!」
「心配するな、大丈夫だから」


いつも気丈に振舞い、弱味など見せなかった彼女が。今、俺の腕の中で震え、泣いている。不謹慎ではあるが、俺の中に独占欲だとか、そう言った醜い感情がどろりと溢れた。


「泣くな、ほら、もう治まってきた」
「う、ん…ぐすっ、ごめんね…」
「気にしなくていい」


無意識だろうか。俺の首元に、すがり付くなまえの荒い息がかかり、何かもっと醜い感情が沸き上がるのを感じた。なまえの嗚咽が耳に響く度に、近くに存在を感じる度に、俺は俺の高ぶった感情を押さえつける。だけど俺の脳内に過るのは、なんというか、不埒な妄想ばかりで。俺のこの手でなまえを汚していく様をありありと妄想し、俺は一気に顔に熱が集まるのを感じた。このままでは危ない、俺の理性も、なまえも。


「…す、すまないが、その…落ち着いたようだし、離してもいいか…?」
「あっ…ご、ごめん!うん、もうだいじょ…」


その瞬間、光と轟音が共に窓の外で弾け、なまえは小さな悲鳴を上げて俺に再び抱き着く。震えるなまえを受け止めて、俺は自分の妄想を打ち消した。そしてゆっくりと彼女の頭を引き寄せる。


「安心しろ、ずっと側にいる」
「…うん、今、だけは」
「ああ…お前を守る、必ず」


それは俺自身への誓いで、なまえへの約束だった。




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テーマ「人外ファンタジー」
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