相互記念
なまえはクラブハウスの中で人を探していた。同い年でこのETUの選手でもあり、そして自分の思い人でもある世良恭平その人を。時刻は昼時、一緒に昼食でもと誘うつもりだったのだ。そしてようやく探していた彼の後頭部が目に入った。
「せ、世良さんっ」
「あ、なまえちゃ…え、え…おっおおお俺になんか用?」
「え、あ…その、今大丈夫ですか…?」
「あ、うん、全然大丈夫!」
そこでなまえは意気込んで、すうっと息を吸うと、世良の目を見て告げた。
「じゃあ、その…お昼はまだでした、か…?」
「え?ああうん、まだ、だけど…」
「じゃっ、じゃあ一緒に食堂でもっ!」
「え、えええええ!?おっ俺でいいの!?」
「は、はいっ、迷惑でなければ!」
「いやいや全然!むしろ嬉し…」
「え?」
「あああいやっな、なんでもっ!」
「えっと、じゃあ行きましょう!」
「う、うっす!」
微妙な距離を取って歩く2人は、お互いにギクシャクしていた。顔は林檎のように真っ赤だし、特に暑くもないのに汗だくだった。
「…もうお前ら付き合っちゃえばいいじゃん」
一部始終を見ていた達海がぼそっと呟いた一言は、周りで見ていた他の選手たちを頷かせるものだった。