何がなんでも2次元。これあたしの持論。

だってそうでしょ、3次元に期待していい事なんて何もないし。ぶっちゃけリア充爆発しろってかなり思う。ごめんなさい自重。そもそもあたしの地元はド田舎で、小学校なんて廃校になっているくらいだ。昔からこんなとこ出てってやるって思っていた。だってマンガ買うのも一苦労だし。もちろんゲームなんて買えなかった。たまごっちとかぽけもんとか、実際見たのは高校に行くために上京した時。その時点でももう時代遅れでよく笑われたものだ。

上京したてのあたしはもう暗黒時代。だってイモだもん。スカートとか短くすんのにめちゃくちゃドキドキしたし、ジャージとか下に履いちゃってたし。少ない仕送りをやりくりして雑誌を買い漁って、今の流行りを取り入れなんとか見た目はイマドキ女子高生、でも中身は2次元に染まったまま。
社会人になった今でもそれは変わってない。もう笑えないよね。そんなあたしだけど、リア充爆発しろとか言ってたあたしだけど、実は彼氏がいたりする。イモ男ばかりの地元の幼なじみだ。名前は椿大介、あたしと同じ20歳。彼はサッカー選手で、しかもレギュラー。昔はやっぱりイモ臭かったけれど、今じゃもうそんな事言えないくらいかっこいい。ほんと3次元バカにしてごめんなさい。


「ごっ、ごめん遅れた!」
「いーよ、急いで来てくれたんでしょ」
「そうだけど…待ったよね…」
「だからもういいってば、ほら行こ」


大介は所属してるサッカーチーム(なんだっけ、えーてぃーゆー?)の練習で忙しいのに、こうしてあたしに会ってくれる。長年付き合ってる自慢のか、かかか彼氏、だと思う…


「う、うん、行こっか、」
「ん、今日寒いよね…」


…マフラー巻いてんのに駄目だこりゃ。冬も終わりだってのに。ああ寒いとあたしは身を縮こませた。


「あ、のさ」
「?」
「その、今日は寒いし」
「うん、あ、帰りたい?」
「や、違くて!…その、手、つ、繋いでもいい…?」
「…うん、」


大介は初心だ。それもかなり。あたしにとって大介は初カレであり、長年一緒にいるけれど、未だに一線こえられていない。
マンガみたいにはやっぱりいかないけど、こうやって一緒にいれればそれでいいかな、なんて思ってる最近。あたしと大介は手を繋いで一緒に歩く。無言なのはお互い恥ずかしいから。大介は手だけで真っ赤になる。見ていて全然飽きない。


「あ、あああの」
「、なに?」
「お、俺、明日練習ないんだ」
「そっか、じゃあ休まないとね」
「え、あ、うん…」
「…」
「…」
「…」
「…それで、」
「ん?」
「だから、…その、俺の部屋に、来ない…?」
「え、」
「あ、いいいい嫌ならいいんだけど!!」
「…いやじゃ、ないよ」
「あ、え、」
「大介の部屋、行きたい」


初心の大介からまさかこんなお誘いがあるなんて。あたしも大概初心だけど。嬉しい、けど。
何がなんでも2次元、あたしのモットーは変わらない。だけど何故かそれは大介には当てはまらないんだ。きっと多分大好きだからかな、なんて。これはあたしがずっと大介に言えない言葉かも知れない。




「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -