「わたし、春歌ちゃんがパートナーでよかった」
「…っわたしも、なまえちゃんがパートナーでよかったです!」
「2人で作ったこの曲で、わたし、自分を見てもらうから」
「はい、」
「きっと、お母さんもわかってくれるよね…?」
「はい、必ず…!」
「…ありがとう、春歌ちゃん、大好き!」


なまえちゃんはそう言うと、ステージへと走っていった。その瞬間、わたしとなまえちゃんの作った曲が流れだし、なまえちゃんの軽快なダンスが始まる。誰よりも笑顔で、お母さんとは違うという事を全身全霊で表している。なまえちゃんらしい、誰にも真似出来ないダンス。凄い、わたし、あんな素敵な人のパートナーなんだ。そう思うと涙が流れて止まらなくなった。


「…凄いわね、なまえちゃん」
「あ…先生、」
「本来ならAクラスの貴女が彼女のパートナーにはなり得なかったけれど…」
「…」
「それでもあの子のパートナーが貴女でよかったと思うの」
「!」
「じゃなかったらあの子、あんなに素敵な表情で歌えないハズだもの」


…果たしてそうだろうか。少し卑屈になってしまうけれど、わたしはもっとなまえちゃんの良さを、なまえちゃんらしさを出し切れる人がいるんじゃないかと思う。それはこうして卒業オーディションが始まっている今でも思ってしまうことで。だけど、だけどわたしがパートナーでよかったと言ってくれたなまえちゃんを、わたしは信じなければいけない。あのステージで歌い、踊り続けるなまえちゃん。あんなに素敵ななまえちゃんなら、優勝出来る。わたしは、信じてるから。





「―…春歌ちゃん!」

「っなまえちゃん!」


だって、わたしを信じて笑顔を見せてくれる、大好きで、大切なパートナーだから。ずっとずっと、わたしはなまえちゃんの為に歌を作っていこう。


「本年度卒業オーディション優勝者は…」


2人で繋いだ手から、どちらのかもわからない心音が響き渡った。どくんどくん、でもきっとなまえちゃんは優勝が見えてるんだと思う。だって横目で見えたなまえちゃんの顔は自信に満ち溢れていたから。


「―…みょうじなまえ!!」


瞬間、目の前が真っ白になる。わかっていた、自信もあった、信じていた。けれど、どんな言葉でも言い表せない感動がそこにはあったから。


「っ、う…あ、」
「なまえちゃん、」
「、春歌ちゃ…」
「優勝です、優勝、ですっ」
「うんっ、うん、…っ」


そしてわたしたちはぎゅっと、ただただ抱き締めあった。




「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -