その後、とんとん拍子で話は進み、ついにおはやっほーニュースの収録の日がやってきた。その間、わたしは打ち合わせ以外でHAYATOくんに会うことはなく、むしろ…避けられている気分、で。


「千早ちゃん、スタンバイよ」
「え…あ、はいっいってきます!」


いけない、わたしはプロなんだから。笑顔は絶やさない、頑張って、この仕事も成功させてみせる…!
明るいイントロが流れ、HAYATOくんがばっちり決めポーズを決めた。そして大きく口を開いて、始まりの言葉を紡ぐ。


「おはやっほー!!」



***


収録が終わり、わたしはHAYATOくんの楽屋の前に来ていた。理由は1つだけ。HAYATOくんに、今日はお疲れさま、これからもよろしくねって言う為。正直、嫌われてるんじゃないかと思い、手も足も少し震える。だけど、進まなくちゃいけないから。
わたしは楽屋のドアを軽く2回、ノックした。


「HAYATOくん」
「ちいちゃん?どうしたのかにゃあ〜?」


目の前のドアが開き、私服であろうラフな服装になったHAYATOくんが姿を現した。あ、わたし衣装のままだ…!


「どしたの?入る?」
「う、ううん…!着替えてもないし…」
「あっほんとだ。その衣装、凄くちいちゃんに似合ってるよね!」
「ありがとう、HAYATOくんも似合ってたよ!」
「うん、ありがとねっ」


目の前のHAYATOくんからは何の違和感も感じない。前のような、何とも言えない不思議な感じは、今はなかった。


「えっと、ね」
「うん?」
「今日はお疲れさま、でした」
「はい、お疲れさまでした」
「それから、それから…」
「?」
「これからもよろしくお願いします!」
「…うん、こちらこそよろしくねっ」


HAYATOくんはそういうと、今まで見てきたよりも明るい、素敵な笑顔をわたしに向けた。きっとこれから、わたしたちは凄い番組を作っていける。大丈夫、そんな核心が、わたしにはあった。







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