今日で何日になっただろうか。彼女が私の元に来たあの日から。事務所から与えられた寮以外にわざわざ部屋を借り、そこになまえを住まわせた。鍵をかけ、鎖で繋ぎ、その部屋でさえも行動を制限する。
何故このような事をと聞かれれば、私はただ一言、愛しているからだと答えるだろう。


「今帰りました。…いい子にしていましたか?」
「…おかえりなさい。いい子にしてたよ」
「それは何よりです」


なまえは何故かいつも怯えているように見える。何に怯えているのかはわからない。なまえがそんな思いをしなくてもいいように、私は君をこの部屋に閉じ込めたというのに。ここにいればどんな恐怖も襲っては来ない。私以外の人間に会う事もない。


「なまえ、君はいつも何に怯えているのです?ここには君と私だけ、何に恐怖しているのですか」
「……なんにも、怖くないよ。」
「わかりやすい嘘はいけませんね」
「ご、ごめんなさい…!」


なまえはあからさまに声をあげて後ずさった。小刻みに震える肩に手を伸ばせば、その肩は大きく跳ね上がる。…そうか。君が恐れているのは、私。


「…わかりました、君が何故私を恐れているかはわかりませんが…善処しますよ、これからもずっと二人だけで生きていくのですから」
「っ、そ…んな…」


にこり。なるべくなまえに恐怖を与えぬよう笑ってそう言えば、なまえは泣き出してしまった。嬉し涙でしょうか、なんて美しい涙なのか。
そうして私たちは何年も何年も共に生きていくのだろう。




 


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