リクエスト小説 | ナノ







それからわたしたちはお互いの部屋に戻り制服に着替えた。音也がかなりわたし(見た目はトキヤだけど)の心配をしてきた事に感動しつつ、わたしはトキヤとの待ち合わせ場所に向かった。


「学校か…大丈夫かなあ…」
「私は馬鹿に、なまえは賢くなればいい事です」
「それおかしくない?てか何気に自分賢いって言った?」
「気のせいです」
「…なんて、ほんと唯一の救いはトキヤと同じ教室って事だけかな」


わたしたちは重い足取りで教室へと向かう。トキヤも口ではああ言いつつもどことなく不安気だ。そして教室の前で、わたしたちは足を止めた。


「ふう…行きますよ」
「お、おう」


そして勢いよく開かれた扉、わたしは精一杯眉根を寄せて歩いた。トキヤはなんか…超笑顔!馬鹿みたいに笑顔なんですけど!


「お、トキヤとなまえじゃん」
「おはよう、二人共」


間違わずにトキヤの席に着いた時、翔とレンの二人に話かけられる。わたしはにやけそうになる口元を抑えながら挨拶を返した。


「おひゃ、おはようございます」
「え、今トキヤ噛んだ?」
「おひゃようだって、珍しい事もあるもんだ」


ああああ後ろからのトキヤの視線が痛い!私は噛みませんよみたいな視線が背中に突き刺さる。
じゃあ助けろよと念を送ると、通じたのかトキヤがこっちに歩いて来た。


「翔、レン、おはよっ」
「「え……」」


トキヤああああ!!誰だそのぶりっ子女は!見てよ翔もレンもドン引きって顔してるじゃん…!というかトキヤはわたしをそういう目で見てるのか。


「どうしたの?二人共変な顔してる、おもしろーい!」
「いや…なまえ?お前どうした?」
「路線変更かい?そういうレディもまあ…嫌いじゃないけど」
「ええ〜?好きって言わなきゃ許さないぞ!」


誰だそれは!やめろそのイラっとするポーズ!トキヤもういいからとにかく下がれ。わたしは慌ててトキヤの腕を掴むと教室の外に出た。
それからひそひそと話し合う。


「トキヤのそのキャラ何!?」
「私なりに馬鹿っぽくしてみたのですが」
「全国のぶりっ子に刺されるよ!?」
「私も言わせていただけば、何故噛んだんです」
「ああ…緊張してて」
「緊張しても私は噛みません、わかりましたか」
「はいはい、トキヤもそのキャラ止めてね」
「善処します」


話も纏まったところで教室に戻ろうとした時。あ、と誰かに声をかけられた。


「トキヤ、なまえっ」
「おはよう」
「お二人共、おはようございます」
「…おはよう、ございます」


わたしたちはAクラスの面子に声をかけられた。…というか春歌ちゃん暗すぎなんだけど。


「な、七海君。どうかしましたか?」
「…実は、今日のおはやっほーニュースに…HAYATOさまがいらっしゃらなくて…」
「!!!」
「HAYATOが?風邪でも引いたのかな…ごほん、引いたのではないでしょうか」
「朝から七海ってば落ち込んでるんだ」
「HAYATOを見れなかったのがショックだったらしい」
「元気出して、はい、飴あげますよぉ」
「ありがとうございます…」


春歌ちゃんの落ち込みもさることながら、HAYATOのワードが出た瞬間のトキヤは驚き過ぎ、というかなんというか。


「(今日のおはやっほーニュースを忘れていました…!私とした事が無断で休むなど…)」
「じゃあ…えっと、これにて失礼します」
「…うん、じゃあまた」


わたしは未だにどこかに意識を飛ばしているトキヤを引きずって教室へと戻った。


「なんかさ、あの二人…変じゃない?」
「確かに、なまえはともかく一ノ瀬はおかしいな」
「心配です…大丈夫でしょうか…」
「はあ…HAYATOさま…」







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