「なんかこうして出かけるの久しぶりかも」
「俺も久しぶりだなあ」


寮は今パーティーの準備でばたばたしていたから、外の空気はなんだか新鮮で心地好い。平和だなあ、なんて思えてしまう。


「…なんかあっち、騒がしくない?」
「え?あ、ほんとだ…なんだろ」


音也と目ぼしい物を探しながら歩いていると、ショッピングモールの一部に人だかりが出来ていた。わたしと音也はそう言ったものが気になって仕方ない質だ、故に近付くのも仕方ない事なのである。なんだか若い子ばかりで勢いに押され気味になってしまうのは音也も同じようで、だけどわたしの手をしっかり握って離れないように傍にいてくれた。


「誰かいるのかな…ってトキヤ!?」
「え!?…ああ違うよ、あれHAYATOじゃん」
「あ、ほんとだ…」


人々の中心にいたのはトキヤの双子の兄、HAYATOだった。あの衣装を見る限り、例のなんとかニュースの収録なのか。でも本当にトキヤに似ているなあ、双子ってここまで似ているのだろうか。


「なまえもさ、HAYATOの事、好き?」
「なんで?むしろあんまり良い印象はないかな」


わたしがそう言うと、音也は驚いたような顔をした。なんだその顔は。


「頑張ってるなあとは思うけど、なあんか嘘臭くて」
「ふうん、…俺にはよくわかんないけど」
「わたしはHAYATOよりトキヤのが好き、本物みたいだから。…まあパートナーの贔屓目もあるけど」


これ以上ここにいても仕方ない、わたしは繋がれた音也の手を引いてこの場所から目を背けた。なんだかHAYATOは、わたしには嘘の塊に見えてしまう。頑張っている人をそんな風に見るなんて、わたしは最低だ。







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