「うわ…あの短時間ですげえ完成度…」


翔がそう呟くと、他の皆も頷いた。わたしと春歌ちゃんはこっそりタッチをして喜ぶ。音源を流し終わった後、それぞれのキーに合わせてパート分けした楽譜を皆に手渡した。


「手書きだけど読めない事はないでしょ?時間無いし、1、2回で決めるよー」


とは言ったものの。わたしたちはそれだけではすまないと思っていた。一応初見であるし、翔の言った通り少しレベルの高いものになっていたからだ。だけど、皆は息のあった歌を一回で合わせた。


「うん、すっごく歌いやすい!」
「中々手応えのある感じだ…」
「皆で歌うと楽しいですねぇ」
「あたしのキーぴったりで超いいよこれ!」
「流石はレディたち、最高だね」
「やっぱお前らすげえなっ」


しかも余裕と来たものだ。わたしと春歌ちゃんは憶測が外れた事に、揃って笑いあった。皆は何事かとわたしたちを見るが、だって面白いんだから仕方ない。皆は、わたしたちの予想を遥かに上回っていたのだから。


「もう皆最高!ね、春歌ちゃん」
「はい!これなら後は自主練習でも大丈夫そうです」


わたしが皆を見ると、彼らは当然と言うかのように力強く頷いた。なんて頼りがいのある仲間だろうか、わたしは心強い皆に胸が高鳴るのを感じた。







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