毎朝この時間に始まるおはやっほーニュース。ああHAYATOさま、今日も麗しゅうございます!千早さんもとっても華やかで素敵です!


「全国1000万のHAYATOファンの皆ぁ、元気かにゃあ?」
「おはやっほーでございまーす!」
「今日も2人でここ、第3スタジオから、皆に元気をお届けしまっす!」


やっぱりお2人は素敵です、わたしはいつかこのお2人にわたしの作った楽曲を提供する事が夢なんです。だからわたしは今年、早乙女学園を受験する事にしました。倍率は200倍、だけど夢の為に諦めません!


「さて、今日は皆に大!ニュースがありまーっす」


番組もエンディングに向かって行く中、HAYATOさまがそう仰りました。大ニュース、一体なんなんでしょう。


「なんと、ちいちゃんが今日でおはやっほーニュース卒業なんです!」
「今までありがとうございましたー!」


え、ええええ!?千早さんがおはやっほーニュースを卒業…そんな…。千早さんはこの番組が始まって以来ずっとHAYATOさまのアシスタントをなさっていて、番組の花のような存在でした。


「ちいちゃんいなくなったら寂しくなっちゃうなあ」
「わたしも寂しいなあ…」
「確か、早乙女学園を受験するから、だったかにゃ?」


早乙女学園。それはわたしの志望校でもあります。まさか千早さんも受験なさるなんて!でも何故既に芸能界に身を置かれている千早さんが学園に?


「今のままじゃ駄目だって気付いたから」
「…駄目って?」
「わたしの力を出し切りたい、でも今のままじゃ…」


そう言うと、千早さんはいつもらしくない暗い顔になりました。でもそれはほんの一瞬で。


「これからの芸能活動は無期限の休止になります」


無期限の休止、それは事実上の芸能界引退になるのでは…。だけど千早さんはわたしの考えを画面の向こう側から否定しました。


「わたしは今年、早乙女学園を受験して…、卒業オーディションで優勝する事を誓います!そして芸能界に帰って来ます」


その瞬間、わたしの周りは輝いて、そして弾けました。千早さんのキラキラが、まるでこちら側まで飛んで来るかのような。


「何年かかっても、やりきります!」
「…うん、頑張って!」


そうはっきりと宣言した千早さんは、HAYATOさまから大輪の花束を涙ぐみながら受け取り、カメラへとその花束に負けないくらいの笑顔を向けました。


「…私も、負けてはいられませんね」


その笑顔があんまりにも眩しくて、わたしは千早さんから目が離せませんでした。だからわたしは、HAYATOさまが別人のような笑顔で千早さんを見ていた事に気付かなかったのでしょう。

翌日から、九条千早さんは芸能界から姿を消し、どこかに消えてしまいました。そのニュースは、数日間世間を騒がせる事になったのです。








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