5巻第17話、出雲の位置に主人公たってます
名前はデフォルト




「…奥村」
「えっあ、九条…」
「ここ、いい?」


京都遠征の為、新幹線にと乗り込んだ祓魔塾の面々だったが、皆が皆奥村燐を避けているのは見てとれた。だけどそれは違う、と千早は思う。


(奥村は奥村、サタンとは違う…)


だからこそ、彼女は自分から彼の隣に座ったのだ。二人の間には燐の鞄が置いてはあるが。


「…?」
「何、なんか文句あるわけ?」
「えっいや…」
「…あたしは別に、奥村が悪いんじゃないって事知ってるだけだから」
「!」


そう言うと、千早は燐の鞄の上で寝そべっていたクロの頭を撫でてやる。燐はそんな千早をただ見つめ、いつもの彼女らしくないその姿にそわそわと体を動かした。


「お前…俺が怖くな」
「ないしっ、ばっかじゃないの?」
「でも俺は」
「言ったでしょ、あたしはあんたが悪くないって知ってるの。それにあたしの敵はサタンだから」
「それは俺を励ましてくれてんのか…?」
「な、ち、違うわよハゲ!」
「ハゲてねえよ!」
「だいたいあんたが落ち込んでるとか気持ち悪いし…っ、あたしは、あたしは…」


千早はそこまでまくし立てると、すうっと息を吸って立ち上がった。


「口だけで今の現状を見ようとしない馬鹿なあいつらが嫌なだけだし!」


その目はしえみや、勝呂を写した。燐はそんな千早の行動に目を丸くして、思わず声を失った。千早の言葉に、しえみはただ俯き、勝呂は怒りを露にして立ち上がる。


「…黙って聞いとれば言いたい放題!!」
「本当の事でしょ、馬鹿!ハゲ!臆病者!」
「誰が臆病者や!」
「あんたたち以外に誰がいるわけ!?」
「おい九条、勝呂…い、いい加減にし」
「「うるさいボケすっこんでろ!!」」


止めようとした燐は千早と勝呂の見事なハモりで一蹴された。だが二人の口喧嘩は長くは続かなかった。眠りを妨げられたシュラによって、バリヨンの刑に処されたからである。





燐が後半空気wwバリヨンの漢字変換ってどうやるんですかね。










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