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▼ 03

同じ町に住んで同じ学校に通っているから当然だけど、頻繁に獄寺隼人に遭遇する。
幸い彼が一人の時にしか話しかけてこないからまだ十代目や山本と面識はない。
そこだけは安心するが、きっとあのちっちゃいヒットマン・リボーンは十代目ファミリーの交友関係や近寄る人間は逐一チェックしていることだろう。
そのうち「ちゃおっス」とか背後から聞こえてくるんじゃないかと内心ヒヤヒヤしながら送る学校生活は中々にストレスが溜まる。
このままじゃ胃に穴でも開くんじゃないかと思いながら今日も当番でゴミを捨てに校舎裏まで捨てに行くと、またバッタリと獄寺に遭遇した。
ファーストコンタクトも校舎裏じゃなかったっけ。
校舎裏がテリトリーなのか獄寺よ。

「苗字」

「ひゃい」

急に名前を呼ばれたせいで変な声が出た。
推しに認知されてるだけでもヤバイのに名前も呼ばれるだなんて人生の運を半分以上使い果たしているんじゃないだろうか。
勝手に上がりそうになる口角を唇を噛んで耐えていると、獄寺が口を開いた。

「お前、ボンゴレの……いや、マフィアってどう思う」

獄寺の言葉にスン、と自分が真顔になるのを感じた。
これは一体どういう意図で訊かれているのだろう。
勧誘か? マフィアへの勧誘か?
こんな一般市民を勧誘しても得は無いぞと声を大にして言ってやりたい。

「怖いと思う」

マフィアとは関わりたくありませんと言外に滲ませる。
私の言葉に獄寺は軽く俯き、黙ってしまった。
そういえば彼の敬愛する十代目も一応はマフィアだった。
これはもしかして十代目に対しての不敬発言と捉えられて激怒されるんじゃあ……。

「で、でも多分優しい人もいるよね」

そう言う人なら怖くないかも、と慌てて付け加えた。
お願いだから怒らないでほしい。
推しに怒られたら一生立ち直れる気がしない。
伺うように獄寺を見たら彼はパッと顔を上げた。
その表情は特に怒りを滲ませていない。
ホッと胸を撫で下ろした。

「じゃあ、マフィアの嫁になるのはどう思う」

「ひえ……」

ホッとしたのも束の間、第二の爆弾が投下された。
ダイナマイト野郎だからってこんなにポンポン爆弾発言投下しないでよ獄寺。
どう思うって普通に怖いよ当たり前じゃん。

と言うかこれはもしかして告白フラグじゃないか。
これだけは阻止しないとこの先の身の危険がやばい。
確実に指輪編までに死ぬ自身がある。

いいや、死ぬくらいならまだ生易しい。
告白なんてされようもんなら確実に私は丁重にお断りするだろう。
そうなったら私なんかに振られる推しを間近で見ることになるわけで。
そんなの死ぬよりツライ。

「どうって言われても……もうちょっと大人にならないと想像つかないなあ」

「……そうか」

どっち付かずの曖昧な返答に何やら考え込む獄寺。
そんな獄寺を横目に、私はただ獄寺の中にある私への感情が早く綺麗さっぱり消え去ることを願うしかなかった。





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