re! | ナノ


▼ 白蘭

ボンゴレ狩りという悪趣味でクソッタレなボンゴレ関係者抹殺活動の首謀者である白蘭というこの男は私もボンゴレ関係者だという事を忘れているのか、何週間も殺さずに側に置いている。
なぜ彼は私を側に置くかその理由は分からない。
嫌がらせか暇つぶしか、どちらにせよ悪趣味である事には変わりない。

しかしこの悪趣味な白蘭は驚くくらい私に友好的だった。
一緒の部屋で過ごし、マフィアらしくない穏やかな世間話に興じ、眠る時でさえも離れる事はない。
そのあまりにも穏やかな時間は「本当にこの人が首謀者なのか」と私の思考を鈍らせるのに充分だった。
今この瞬間にだって友人知人がボンゴレ狩りの名の下に抹殺されているかもしれないのに。

「殺していいよ」

少しでも白蘭に対して好感を抱き始めている自分に嫌気が差していた。
その末の選択がこの言葉だった。

「えっ、なんで?」

私の言葉を聞いた白蘭はマシュマロを食べながらパチクリと目を瞬かせた。
何でこんな事を言うのか解らないといった表情だ。

「貴方に好感を抱いてる自分が嫌になった」

「うーん、殺してあげても良いけど……」

正直な感情を伝えると、白蘭は考えながら新しいマシュマロの袋を開けた。

「君が居なくなっちゃうと僕が少し退屈しちゃうんだ」

だからダメ、と彼はマシュマロを私の唇に押し付けた。
押し付けられたマシュマロをぱくりと食べると白蘭はにっこりと笑っていた。

「名前チャン、目を閉じて口開けて」

「はい」

言われた通りに目を閉じてから口を開くと、再び口の中にマシュマロが入ってきた。
噛むとまた甘い味が味覚を刺激する。

「……もう目開けても良い?」

「まだだよ」

いつまで閉じていればいいのだろうと考えたその時、柔らかいものが唇に触れた。
目を閉じているせいでそれが何なのか解らない。
マシュマロのような気がするけど、少し違う気がする。
ううん、と考えを巡らせていたら「名前チャン」と白蘭に呼ばれた。

「僕が君に飽きちゃったらちゃんと殺してあげる」

目を閉じているせいだろうか。
白蘭の声がさっきより近く感じた。

「だから間違っても、二度とそんなこと言わないでね」

ひやりとした冷たい空気を肌で感じる。
冷や汗が背を伝っていくような嫌な感覚。

「う、ん……」

小さく頷くと「いい子」と言いながら頬を撫でられた。

もしかして、白蘭は怒ったのだろうか。
殺していいよなんて簡単に命を手放そうとする私に。
当たり前のように簡単に残酷な事を遣って退ける人間のくせにたったそれだけの事で怒るなんて。

「変なの」

ポツリと呟いた言葉に白蘭は何を思ったのか、再びマシュマロのようなものを私の唇に押し当てた。



prev / next

[back]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -