jojo | ナノ


▼ 年下の恋人から逃げ出したい

私には年下の恋人が居る。
年下だけど落ち着いていて妙に大人っぽい。
一緒にいると楽しいし、何より私を愛してくれている。
そんな彼のことを私も愛していた。
だけど最近の彼はどこか変だ。
嫌に嫉妬深いというか、束縛が激しくなった気がする。
最初は気のせいだと思っていたけれど、どうにもそうではないようだ。



「どこに行っていたんですか」

久々に友人と出掛け、帰ってきたら恋人であるジョルノが来ていた。
帰ってきた私を見るなり責めるような口調で問いかけてきた。

「昨日も言ったでしょ。 友達に会いに行っていたの」

「行っちゃダメって言ったじゃないですか」

ジョルノに腕を掴まれる。
怒りを感じているのか力が入っている。

「私は承諾した覚えないわ」

「拒否もしませんでした」

反論すると間髪入れずジョルノは言葉を吐く。
こういう時だけジョルノは子どもっぽくなる。
普段ならばたまに見せる子どもらしさは可愛く見えることだろう。
だけどこういう場面での子どもっぽさは私は好きじゃあない。

ジョルノに鋭い視線を向けると、ジョルノは哀しそうに眉尻を下げた。
なんでアンタがそんな表情をするのよ。
まるで私が悪いことしているみたいじゃないの。
ジョルノの視線に耐え切れず、私の方から視線を逸らした。

「僕を不安にさせないでください…」

ぽつりとジョルノが呟くように言った。
小さな声だったけれど静かなこの部屋ではよく聞こえた。

「さもないと貴女を閉じ込めてしまいそうだ」

驚き、ジョルノに再び視線を向けた。
それと同時にジョルノに抱き締められた。
抱き締められるとジョルノの表情が解らない。
ジョルノの言葉が本気なのかどうかも分かり兼ねる。

「……ねえ、冗談でしょ?」

訊くがジョルノは何も答えなかった。
肯定とも否定とも取れる態度に、正直逃げたくなった。
なんで私、この子と付き合っているんだっけ。
そういう考えまで浮かんでくる。

「愛していますよ、ナマエ。 絶対に離したりしません」

耳元で囁かれる愛の言葉を聞きながら目を閉じた。
いつか近いうちに私は彼の元から逃げるだろう。
別れを告げたところで応じてくれるわけがないもの。
厄介な人に好かれてしまったものだ。

しかし一時でも私が愛した人。
厄介と思いながらも完全に嫌いになることは出来なかった。



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