なんか知らんけど次に視界に入った人間と五分間キスしないと声が戻らない呪いにかかった。
(どんな呪いやねん……!!)
力いっぱい叫ぼうとしたけど口からは空気しか出てこず、一人きりの部室内で頭を抱えながら項垂れる。
幸か不幸か部活後の部室には誰も居らず、まだ誰も視界に入れていない。
ずっと此処に居るわけにいかないのは解ってる。
かといって外に出て知らん人間が私の視界に入ってみろ、地獄やぞ。
そうやって解決策が一切浮かばない状況に声に出さずうんうん唸っていたら、ガチャリ、と扉の開く音が聞こえた。
見ちゃダメなのに思わず振り向いてしまい、私は部室に入ってきたその人物の姿を視界に捉えた。