修也は私の彼氏だ。一応。修也は口数が少ない。付き合って結構経つけど未だに恋人らしい事は何一つしていない。私は修也の事が好きで好きでたまらないからそういう事がしたいと思ってしまう。でも修也は一切そういう事をしない。手も繋いだ事も無いような気がする。そういう、恋人らしい事を自分からすればいいのだろうけど生憎そんな勇気は無くて、それに修也からしてほしいという気持ちが私にはあった。思えば告白は私からした。修也は私の事本当に好きなのかという疑問が私の頭の中をぐるぐると駆け巡る。机に突っ伏して考える。今日一緒に帰って修也に訊く事に決めた。最近一緒に帰ってないしね。私は深い溜め息を吐いた。


誰も居ない教室で修也を待った。修也の席はグラウンドがよく見える。今さっき練習が終わったようだったからもうすぐ来るかななんて思っているとガラガラと扉が開いた音がした。

「待たせてすまん」

「いいよいいよ、練習お疲れ様」

「ああ」

なんだか修也の態度が素っ気なく感じられた。私の思い違いで修也はいつも通りなのだろうけど今日ばかりは私をそう思わさせた。もう単刀直入に訊いてしまおう。

「修也」

「なんだ?」

「修也って私の事好きなの?」

「どうしたんだ、いきなり」

「質問に答えてよ!」

「……好きに決まってるだろう」

声を荒げる私に対して全く声色を変えない修也はやっぱり大人だった。

「口ではどうとでも言えるよ」

「………」

理不尽な事を言う私は子供だった。こんな私、修也が嫌うのもわかる。そう思うと悲しくなって涙が溢れてきた。修也には見せたくなかった涙だ。

「なんで、泣くんだ」

「だって、だって、修也がっ」

喋り出すと嗚咽が止まらなかった。修也は難しい顔をして私の背中を擦った。こういう所は優しくて好きだ。

「名前」

「なっ、な、あに」

「好きを行動で示せ、って事だな?」

「えっ」

そう言って修也は私を優しく包み込むようにして抱き締めると優しいキスをした。ぎこちなかったけどあたたかかった。

「あ……」

「これで、いいんだろ」

修也は私を抱き締めたまま私の頭を撫でた。

「修也、ごめん」

「俺もこういう事してやれなくて悪かった」

修也の顔を見ると真っ赤で私はびっくりした。こんな修也初めてだった。

「修也、顔赤い」

「お前の方が赤い」

「えっ、うそ!」

なんて言ってお互い笑い合った。修也の久しぶりの笑顔はかっこよかった。

「手、繋いで帰るか」

「うん!」

私は修也とずっとずっと繋がっていたいと思った。もう不安になったりなんてしないよ。修也、大好き。



(20100921)









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