学校帰りに俺ん家に寄ってなんとなくだらだら雑誌読んだり話したりするのが日課になっている名前。俺の彼女的な存在。的、つうか彼女だけど。
今日も同じように部屋に入るが、何故か今日はいつものようにベッドにお構い無しに寝転ぶのではなく、体を強張らせて座った。名前の膝に乗る手がきゅっと握られたように見えた。

「なんだよ、今更そんな緊張して、何もしねえよ」

「明王はえろい事しか頭に無いの?」

「うっせ、真に受けんなよ」

俺だってエロしか頭に無い訳じゃねえ。これまじだからな。だって名前の事で頭いっぱいになるし。つかそんな人間居たら間違いなく病気だろ。

「えろいくせに気付かないのかぁ、恋人の変化は見落としちゃいけないってヒロトが言ってたぞ」

「さっきから何言ってんだ、お前は、つかあんま他の奴と口聞くなよ」


名前の口振りからすると、どうやら俺の知らない内に名前の何かが変わったようだ。俺に限ってそんな失態信じられなかった、というか見たところ名前が変わっているところなんて無かった。髪も切っていなけりゃ(勿論髪型もいつもと同じ)化粧の一つもしていないし(いつもそうだし、しなくていいが)服装もいつもの制服だった。

「一体何が変わったっていうんだよ?」

そう言うと名前が戸惑い始めた。何かすごく困っている。一瞬手を胸元に上げたがすぐにそれをまた膝の上に戻した。その行動が理解出来なくて俺は眉間に皺を寄せる。

「言えない……」

「はぁ?」

あれだけエロエロ言っておいてこれだ。俺の眉間の皺が増殖した。
しかし何かが変わったというのは本当らしい、それは実に気になる。恋人の変化だもんな。俺は最後の手段に出た。

「なぁ、教えろよ」

名前の隣に腰を降ろし逃げ道を無くすように肩を抱いて耳元で低く囁く。名前はこうされると弱いのを俺は知っている。未だ答えに渋っている名前を急かした。

「ほら、言えよ」

「……おっぱい」

「は?」

「さわってみて」

「はああぁ!?」

突然何を言い出すのか、名前は耳まで赤くした顔を俯かせる。え、何だよそれ、意味わかんねえよ。俺もちょっと顔熱くなってきたわボケ。

「その無い胸を揉めってか、つかお前の方がエロいだろ」

と言いつつ決して揉もうとはしない俺まじ紳士。名前は真っ赤な顔を勢い良く上げた。

「う、うるさい!無くないもん!」

「じゃあちいせえ」

「うっさい!」

名前が涙目になってきたから言い合いはこれくらいにして、俺は本題に入った。

「で、それがなんでお前の変化につながるんだ?」

また名前は戸惑いを見せた。しかし今度は覚悟を決めたように俺の方を見た。

「……ブラ、」

「え?」

「ブラ変えたの」

「わ、わかるかっ!!」

俺は顔がもっと熱く感覚を覚えた。もう名前の方見れねえ、というかブラ、って……ブラジャーだよな?わかる訳ねーだろ!

「あのね、大人のやつにしたの」

「あー、なるほど」

そういう成長を見てほしかったのか、と俺は妙に納得して遠慮無く名前の胸に手を伸ばした。

「や、ちょっ!」

「パカパカすんだけど!」

そう言って笑うと名前の平手が飛んできた。わりと痛い。本当にパカパカするからしょうがねえだろ、というのは自分の使い道の無い平べったい胸にしまった。気を取り直して俺は名前の首筋に顔を埋めて背中に手を回した。

「あ、本当だ、ホックあんじゃん」

俺は慣れた手付きでホックを外した。(生まれて初めてだけど)

「な、なにすんの!」

「お胸のちっちゃな名前チャンにはこいつは必要無いと思ってな」

また名前の平手が飛んで来たが今度はそれを交わしてゆるゆるとブラをずり落とした。

「うそうそ、パカパカしないようにでかくしてやろうと思ったんだよ」

「あっ、ちょ、ばか」

俺は隔てる物がシャツ一枚しか無い中で名前のそれに手を添えて動かした。やっぱり名前の胸は小さかった。

「ひゃっ」

「感じてんの?」

「あっ、あ、あき、お」

「はいはい、もっとしてほしいんだ?わかったよ」

「ち、ちが」

俺は名前のシャツのボタンに手を掛けたら名前に右腕をかなりの力で掴まれた。そして俺の左肩辺りのシャツを握りしめる。

「大丈夫、怖がんなって」

と言った次の瞬間名前に体を回し込まれて気付いた時には冷たい床に背中を強く打って痛みが全身に走っていた。簡単に言うと名前に背負い投げされたのだ。座ったままで。

「明王のド変態!!」

名前はそう言って部屋を出て行ってしまった。俺は起き上がる力も残っていなかったから後で電話で謝ろうと決心した。というかいつの間に背負い投げなんて習得したんだよ。いてえよ。

名前の喘ぎ声が頭にこびり付いて離れなから今度リベンジしてやろうと思う。



(20101012)









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