この俺が勉強するというのに無理矢理図々しく家に押し掛けてきた名前。俺が机に向かって5分も経たずに名前が後ろから俺の首に手を回してもたれかかってきた。

「うぜえんだよ」

「明王が勉強とかどうしたの」

「明日テストだろうが」

「………」

「来年受験生だぞ」

「知らないよ、そんなの」

「俺より馬鹿だろお前」

「そんな事ないもん」

名前が俺の肩に顎を乗せる。

「かまってよ」

「うっせえ、邪魔すんな」

「明王のいけずー」

そりゃ、可愛い彼女の頼みだ、かまってやりたいのは山々だが果たしてそれがこいつのためになるだろうか。どうにかして家に帰さないといけないと思う。

「家帰ってお前も勉強しろよ」

「やーだ」

「お前なぁ……」

「いつから明王はいい子ちゃんになったんですか、明王ちゃんですか」

「明王ちゃん言うな」

「明王ちゃーん」

「………」

もうこうなったら無視だ無視!俺は名前に何を言われても黙りを決め込んだ。すると名前が諦めたようで俺を呼ぶのを止めた。

「早く帰れ馬鹿」

「ふー」

「ふぁっ」

いきなり名前俺の耳に息を吹き掛けてきやがった。

「ははは!明王、ふぁって言った!」

「てめえ……」

「明王可愛い」

「うっせ、って、ちょ、おま、あっ」

今度は耳を甘噛みしてきた。

「う、ぁ」

「気持ちいいの?」

「や、めろ」

耳の傍で甘く囁かれる。

「素直じゃないなぁ」

まあそれが明王か、と言った名前に腹が立つ。というかやられっぱなしは嫌だ。受け身は慣れてないんだ俺は。

「調子乗んな!」

「わっ」

俺は素早く椅子から立ち名前をベッドまで連れて押し倒した。

「お望み通り、かまってやんよ」

と、いざこいつを掌の上で弄ぶようにいろいろとしてやろうと思い顔を近付けようとしたら名前に頭を掴まれ思い切り引き寄せられてキスされた。いつの間にこんなに巧くなったのか、歯列をなぞられたり舌を絡められたりして、だんだん俺の体が変になっていく。名前の両側にあった俺の腕の力が抜けて肘が折れる。体が密着した(柔らかかった)かと思えばぐるりと体が回った。まさかと思って目を開けると同時に唇が離れてにっこり笑う名前と目が合った。さっきまでとは違う位置で。俺が下でこいつが上、だ。こんな事あってたまるか。

「ふふ、焦ってるの?」

「ふざけんなよ」

「さっきのよかったでしょ?」

「だ、だまれ!」

「続き、してあげようか?」

「うっせえ!」

「私はしたいんだけどな」

名前が足を体に絡ませるようにして俺を抱き締めた。そしてなんと俺のTシャツの裾から手を滑り込ませてきた。いろんな所を適当にまさぐられる。そのぎこちなくて遠慮の無い動きに身体が反応して胸の奥の方がぞくっとした。

「あっ、お前、本格的に発情期かよ」

「そうかも」

「まじかよ、んぁ、やめ、ろ」

「でもただ触ってたいだけ、別にその先がしたい訳じゃないの」

「ハッ、俺にとっては地獄だな、あぁっ、だからやめろって」

プラトニックな名前がTシャツの中の手を抜いた。それから名前が四肢全部を使い俺の身体を抱き締める。

「明王ー」

「こんな人形前あったよな」

「だっこちゃんだっけ」

「それだそれだ」

「私は明王専用だね」

「………あのな、まじで言いにくいんだけど」

「何?今明王抱き締めてるから忙しいんだけど」

名前は俺の胸に顔を埋めて言った。

「たちそうだから退け」

「もうたってるでしょ」

「わかってるなら退けよ」

「やーだ」

こいつ、いつからこんなにドSになったんだ。

「責任取れよ」

「十年後くらいにね」

まじで俺の息子がやばい。それと同じくらいテストがやばい。否この際もうテストなんてどうでもいいか。こいつと居残りとかいいんじゃね?ああ、もう俺って駄目な奴だな。

このまま生殺しか反撃するかは俺次第。

迎撃ミサイル、発射準備OK?



(20101009)









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