昼休み、暖かい日はいつも屋上で名前と弁当を食べる。今日もそうだった。 「修也の卵焼き……」 俺は俺の卵焼きを名前の弁当のご飯の上に置いてやった。 「ありがとう!」 名前が卵焼きを口に運んだ。 「やっぱ修也の卵焼きは美味しいなぁ」 最近俺の作る料理がだんだん名前の好みの味になってきたと思う。名前のこの笑顔を見たいがために自然とそうなってきている。 「私も修也に何かあげたいけど冷凍食品しか入ってないんだなぁ、これが」 「またか」 「うん、修也を見習わなきゃだね」 名前はなんだかよくわからないグラタンを食べながら言った。 「毎日名前のご飯食べる予定なんだから頑張れよ」 俺がそう言った瞬間に名前がむせた。俺は名前の背中を叩く。 「大丈夫か」 「しゅ、修也さんがいきなり胸キュン台詞言うからだよ」 「胸きゅんってなんだ?」 「え、うーんとね……」 名前はそれから名前の弁当の中のなんだかよくわからないフライを箸で取って俺の口元へ運んだ。 「あーん」 「これが胸きゅんか?」 「多分こういう事!」 「なんか恥ずかしいな」 「私も恥ずかしいから早く食べてよ!」 そして再度名前が「あーん」と言って差し出したそれを俺は食べた。 「美味しい?」 「普通だな」 「ですよねー」 「でもなんか旨かったかもしれない」 「あーんの効果だよ!それ!もっかいやる?」 「いい」 「ですよねー」 弁当を食べ終え、二人で寝そべった。これも日課である。 「修也、修也」 「なんだ?」 「腕枕してください」 「なんでそっぽ向いて言うんだよ」 「は、恥ずかしいんだよ!」 俺は思わず笑った後名前の頭の下に腕をやった。 「こっち向け」 「えー」 名前がなかなかこっちに向かないから俺は名前を無理矢理抱き寄せた。 「わっ」 「名前……」 見つめ合う事数十秒。名前は何かが吹っ切れたのか、いきなり俺の胸に顔を埋めて抱き締めてきた。 「修也ー!好きだー!!」 そう言う名前の頭を優しく撫でてやる。そして俺は名前の顎を持ち上げて惹き付け合うようにキスをした。唇は離してまた見つめ合い呼吸を整えた後今度は珍しく名前からキスしてきた。精一杯、一生懸命、という感じで可愛い。 「ぷはっ、はぁ、はぁ」 「下手くそだな」 「うるさい!」 名前は肩を揺らして言った。そんな所も口には出さないが可愛い。 「修也、愛してる」 「俺もだ」 俺達はチャイムが鳴っても抱き合ったままで5時間目をサボった。やむを得なかった、先生すまん。 (20101001) |