「〇〇中の攻撃パターンは……」 「ひゃああん!」 また今日も名字が悲鳴を上げた。原因は隣のニヤニヤしている不動だろう。何をしたかは聞きたくなかった。 「明王が、明王がー!」 「何今の声誘ってんのかよ」 「誘ってないよ!明王のばかやろー!」 「んだよ、ケツ触ったぐらいで喚いてんじゃねえよ」 「触ったんじゃない!鷲掴みだよ!あれは!」 「こまけー事は気にすんな」 腹が痛くなった。佐久間がシャーペンを勢い良く机に突き刺した。そして佐久間の握力でそのシャーペンは粉々に砕け散った。 「不動、そういう事していると名字に嫌われるぞ」 「黙れ童貞」 俺が忠告するとそう辛辣な言葉が返ってきた。うるさい、余計なお世話だ。 「名前が俺の事嫌いになる訳ねえじゃねえか、なぁ?名前」 不動が名字の腰に手を回す。また悲鳴を上げるかと思えば名字は顔を赤くして小さく頷いた。 「ほらなー!」 ケラケラ笑う不動を心の底から殴りたいと思った。 「殺したい……」 「落ち着け、佐久間」 俺も相当頭に来ているが他の奴らに言葉を掛けられる自分を褒め称えてあげたいと思った。胃痛が治る日が来るのは当分先の事だろう。もしかしたら来ないかもしれないと思うとまた腹の痛みが増した。 (20100926) |