「〇〇中の戦術の傾向は……」

「ぎゃー!!明王の変態!!」

ミーティング中、名字が悲鳴を上げて立ち上がった。何がどうしたと言うんだ。

「明王がブラ、パッチンってやってきたああ!」

どうやら名字の隣に座っていた不動がそのような悪業をやらかしたようだった。

「助けて源田!」

名字がそう言って俺の背中に抱き付いてきた。俺は思わず密着している名字の胸を意識してしまった。

「別に彼氏なんだからいいじゃねえか」

「反省の色無し!最低!」

名字が俺の後ろから声を上げた。

「とか言うけどよお」

不動が席を立ち俺達の方へやってきた。

「他の男に抱き付く方が最低だろ」

不動は俺から名字を引き剥がすと自分の腕の中に収めた。

「ご、こめん……」

「今日お仕置きだからな」

「そんなー!!」

部員達がこのバカップルを白い目で見る。勿論俺もだった。佐久間が手を挙げた。

「どうした、佐久間」

「いちゃいちゃするなら余所でやっていただきたい」

「同感だ」

「んだよケチくせーな、行こうぜ、名前」

「う、うん!みんなごめん!お先に失礼します!」

バカップルが姿を消すと、部員達が各々壁を殴り、椅子を蹴った。皆相当荒んでいるようだ。佐久間に至っては鉛筆を折り出していた。

「くそっ、彼女居ない俺達への当て付けか……!!許さん、許さんぞ、不動!!」

「きっと、いつか俺達にも出来るさ……」

俺は佐久間の肩を叩いた。



(20100924)









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