名前が俺ん家に来ているのだが、名前の様子がおかしい。名前が俺に絡むように抱き付いて来る。

「明王、ちゅーして」

「はあ?」

仕舞にはこうだ。いつもはこんな事絶対に言わない。俺が勝手にキスすると怒るくらいだ。しかし、ベッドの上でこんな事を言われると流石の俺にも来る物があった。

「お前、今日、どうしたんだよ」

「えー、どうもしないけど」

そう言うが明らかに声が甘ったるい。そういえばなんだか匂いも違う気がする。

「お前まさか自分の香水に酔ってんのか?」

「なんかヒロトにもらったからつけてみた」

自分以外の男の名前が出てきて俺は苛つく。しかも他の男からもらった香水をつけただと?許せねえ。それにいつもと違う名前を作った原因があいつだと思うとなんだかあいつに名前を支配されたみたいで余計に苛立った。

「名前、覚悟しろよ」

俺は乱暴に名前の口を塞いだ。俺だけで頭がいっぱいになるようにキスをした。名前が俺の胸板を叩く。

「んだよ、自分から誘っといてもう限界かよ」

「もっとちゅーして」

「ったく、しょうがねーな」

むかつくから今度は香水が無くなるように首筋をべろりと舐めた。

「んあっ、あ、きお」

俺はもう一回首筋に舌を這わせた。

「んああっ、くちがいいの」

俺は聞く耳持たずに首筋に吸い付いた。名前の白い首筋にはそれがすごく目立った。

「あっ」

「苦情は受け付けねえかんな」

名前が身を捩った。なんだかこのエロい名前にそれ以上やると止められそうにないと思ったから、俺は名前をベッドに押し倒して頭を撫でた。ご要望だった口に軽く唇を落とすと気持ちよさそうに名前は眠りについた。




「わぁー!なにこれ!」

名前が鏡を見て叫んだ。多分俺が付けたキスマークの事だと思う。

「明王のばか!最低!」

「おいおい、ちゅーしてとか言ってた奴はどこのどいつだよ?」

「私そんな事言ってな……、あー……、言ったかもしんない」

「思い出したか」

「まじ恥ずかしい、死にたい」

「もっとしてやろうか?」

「もういいよ!」

耳まで真っ赤な名前が可愛かったから嫌がる名前に無理矢理キスした。やっぱり俺はこっちの名前が好きだ。



(20100922)









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