Happy
GoodMorning




朝っぱらから結構真面目にサッカー談義をしている豪炎寺くんと鬼道くん。
私が全く会話に入れなかったというのは言うまでもないよね。全然知らない単語が飛び交って拾う事さえ出来ない。というか二人とも私を忘れていません?私は悲しくなって肩を落とした。

豪炎寺くんは朝から抜け目無くかっこよかった。キリッとしてる。本当見惚れるなあ。
鬼道くんはファンキーな外見とは裏腹にすごく冷静なんだよね。言動が大人だ、豪炎寺くんにも言える事だけど。ドSなところは意外なのか、ぴったりなのかは私には断言出来なかった。

ていうか、位置がおかしいと思う。なんで豪炎寺くんの隣が鬼道くんで私が鬼道くんの隣に居るんだ。いや、二人が真面目な話をしている中を割って入るのも悪いけど、鬼道くん、私が豪炎寺くん好きだって知ってるよね?やっぱりドSなんだね、鬼道くんは。
いや、何も私が最初から豪炎寺くんの隣に行けばよかったんだ。でもなんとなく鬼道くんの隣に落ち着いちゃったんだよね。今更豪炎寺くんの隣に行ったら絶対変な奴って思われる。

私は無言のまま歩みを進めているといきなり豪炎寺くんに話を振られた。ごめんなさい、全然聞いてなかったです。


「名字はどう思った?」
「あ、え、えーと」


やばい。やばい。やばい!このままじゃ話聞いてないいい加減な奴という烙印を押されてしまう。軽く挙動不審になって(もうこの際変な奴でもいいや)いたら鬼道くんが助け船を出してくれた。


「昨日のファイヤトルネード、俺は中々決まっていたと思うぞ」
「わ、私も!初めて見たよ!あんなすごいシュート!」
「そうか、ありがとな」


豪炎寺くんが爽やかな笑顔とともにお礼を言った。ぶわっと何かが全身を駆け抜けたくらいの衝撃が走った。多分、感激し過ぎた故の症状だと思う。幸せに浸っていたのも束の間、豪炎寺くんの言葉によってその幸せが崩れていった。


「昨日といえば、名字が風丸を女だと思ったのには流石に笑えたな」
「俺もだ」
「わ、悪気は無かったんですよぉ」
「ああ、悪い悪い」


そして豪炎寺くんが私の隣に来てなんと、(ここよく聞いてほしい)頭をポンポンしたのだ!私は赤面せずにはいられなかった。しかもあまりの出来事、というか事件に身体を強ばらせて足を止めてしまった。豪炎寺くんが怪訝な顔をして問い掛けてきた。(鬼道くんはすごいニタニタしてた。くそ、あんまり見るな、さっきはどうもありがとう)


「どうした?」
「あ、あああ、なんでもない、よ!」


私は豪炎寺くんの声で足が動くようになった。


「手と足が同時に出てるぞ」
「えっ!」


鬼道くんの指摘により、私は自分が今相当ぎこちなくて緊張している事に気付いた。隣で豪炎寺くんが笑っている。なんか私、豪炎寺くんを笑わせてばかりじゃないか?


「変な奴だな、お前」


やっぱり、変な奴に認定されたけど覚悟していたからそれほどダメージは大きくなかった。それに笑いながら言われたから特に悪い気はしなかった。寧ろ嬉しいに近いかもしれない。あれ?私いつからドMになったんだろう。

しかし、心臓がどきどきしっぱなしだし、顔は熱いでどうしようもなかった。
やっぱり朝から豪炎寺くんは刺激が強すぎたんだ。



思いの外早くに学校に着いた。(楽しかったからかな)
豪炎寺くんの下駄箱がちょうど私の下駄箱の真下だったから私は豪炎寺くんが上履きを取るまで待った。すると豪炎寺くんは私の下駄箱を開けて「先履け」と言ってくれた。レディファーストを地でいく豪炎寺くん。感動で上履きを取る手が震えた。

三人で階段を上り切ると鬼道くんはあっちの教室らしかった。鬼道くんと別れて私は豪炎寺くんと二人きりで登校した。一瞬だけど。廊下だから人結構居るけど。私はささやかな幸せを噛み締めた。

教室に入ってみんなに軽く挨拶をした早々、円堂くんに「名字!顔赤いけど大丈夫か!」と言われた。


恥ずかしくて私は机に鞄を置いた瞬間教室を抜け出した。



(20101019)







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