※短い
※戦争コンビで無自覚な静→臨でキスしてるだけ




「んぅ、…っ、」


抵抗する口を舌で無理やり抉じ開けて、目の前の男の口内をひたすら犯す。
息つく暇も与えず、呼吸困難でこいつを殺すつもりかと自身を疑うくらいに、夢中で舌を絡めた。もしかすると、本当にこの男を殺したいという欲だけで動いているのかもしれない。もう、それでもよかった。

相手の舌を吸い、甘噛みし、歯列をなぞる。バンッバンッとしきりに俺の胸元を叩く手が気に障るが、それどころではなかった。
まだ足りない。


「ん、んんっ」


苦しそうに籠もった声が口を通して聞こえた。
先程まで忙しなく動いていた手は、いつの間にかおとなしく俺の腕のシャツを握っている。俺を非難し、嗤い、挑発していた紅い瞳は瞼に隠され、きつく閉じられた目元には涙がキラキラと反射していた。

足りなかったものが満たされ、唇を離す。途端、目の前の口が大きく開かれて、酸素を乞うように肩が上下した。嗚咽混じりの呼吸を繰り返す様に、沸き上がる何かが胸を支配する。

路地裏は湿気た匂いがした。街の喧騒をどこか遠くに感じながら、ただ目の前の奴の息遣いに耳を傾ける。


「、し、ね…っ!」


しばらくして、擦れた声で悪態を吐く臨也からは確かに殺気を感じた。
それでも、再び開かれた双眼の瞳の紅は潤んでいて、殺気はあっても覇気はない。俺の中で「沸き上がる何か」は留まることなく溢れていく。


「は、──シズちゃん、俺を窒息死、させたいの?」

「…そうかもしんねえ」

「そう"かも"、って…こんなことする理由が他に、ある?」


そう訊ねた臨也を前に、「理由なんざいくらでもある」と思わず返しそうになって、止まる。何故そんなことを言いそうになったのか。
理由なんて、俺にもわからない。
ただその口に噛み付きたくなった、そう言ったらてめえはいつもの様に嗤うのか。


「…んなの知らねえよ」


「適当にも程がある」そう言う奴の口を再び塞ぐ。
次こそ、この行為の理由を見つけられるだろうか。





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