10000打記念企画 | ナノ


ハブ捕獲は、なまえが想像していたよりずっと的確に、そして迅速に行われた。
風紀委員会もそうなのだが、選挙管理委員会もまた結束力が強い。
この辺は自分たちも見習うものがあるなあと、捕獲に使用した火ばさみを片付けながらそんなことを考える。

「でも本当にすごいね。こんなに早く終わるなんて思ってなかった」
「苗字さまの協力あってこそですよ」
「ううん。すごく統率されてる。 美化委員会ってさ、風紀や選管と何が違うんだろ」

もちろん予定時間より早く終われば自由時間と言うのも大きいのだろうが、それにしたって、やっぱり明らかに違う。一体雲仙や大刀洗、ひいては呼子や長者原はどういう指導をしているのだろうか。

「……選挙管理委員長の言葉を借りるなら、『上に立つ人間は仕事が出来るだけでなく、部下を頑張らせることができる』だ、そうですよ」
「ああ、なるほど」

風紀委員会の『雲仙冥利を愛でる会』などはその代表例だろう。
委員長としてのスペックは他の委員長の方が高いかも知れないが、彼らは優秀で在るが故に他者に頼ることが下手である。
異常な偏りをもった異常だからこそ、足りないものが見えるのだろう。
しかし例外的に割り当てられたものなら得手不得手関係なく遂行しようとする異常の2人が、その下に付いているというのはなんだか皮肉な偶然である。

「なら長者原くんもさ、もっと人に甘えてもいいと思うな」

火ばさみの個数の確認が終わり、それの詰められたダンボールを乗ってきたバスまで運びながらなまえは呟いた。

「十分、苗字さまのご厚意に甘えさせてもらっていますよ。こんな事まで手伝っていただいて」
「でもこれだって言ってしまえば美化副委員長の業務のうちだしね。それに連日のスケジュールを見てると心配にもなってくるよ」
「心配……ですか」
「心配!」

それを言い出したら彼女の方こそ自身を顧みない無茶をあちこちでしでかしている。が、それを言ってもきっと通用しないだろう。やっぱり自分だって、人のことは言えないのだし。

「しかし、これは苗字さまへのお礼も兼ねていますので…。そうですね、もう余り時間はありませんが、わたくしめで良ければどこでもお供しますよ。
ああ、ですがお土産選びにはつき合ってくれると嬉しいですね。病院で雲仙さまはさぞかし退屈してらっしゃるでしょうから」
「…うん。お見舞い、一緒に選ぼうか!」

歳よりもいくらか幼い印象の笑みを浮かべるなまえに、長者原もまた微笑んだ。


空の青さを知ってるかい

(良かったですねー副委員長)
(…お前たち。何をにやついてるのか知らないが、帰ったら申の会場の手配で時計塔の掃除だからな)


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10000打記念企画。
博士さまに捧げます。
大変お待たせしました。

シャッフル番外編で沖縄ハブ取り旅行でした。
かなりねつ造ですので生暖かい目で見守っていただければ…!嬉しいです…!

ありがとうございました!


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