夢喰 | ナノ
アマゾン川に集う

「今頃智香ちゃんはお妙さんの家かあ。羨ましくも何ともないぞ!この旅行から帰ったら俺も家に招き入れられる予定だからな!」
「へー。あいつがあの女のところにねィ」
「なんでも智香ちゃんとお妙さんと九兵衛くんとさっちゃんさんと万屋の所のチャイナ娘で女子会とやらをしてるんだそうだ!」
「いや、そんな危険な女子会この世にないけどォ!?」
「女子会っつーかピラニアがアマゾン川に集う会の間違いですぜそれ」





「えぇ〜?私と銀さんのラブラブっぷり〜?どーおしてもっていうなら教えてあげなくもないけどォ?」
「猿飛さん。今は恋愛のお話をしてるんです。妄想の話は後にしてくださいな」
「なによォォ!!わたしの話の何が妄想だっていうのよォォ!!」
「妙ちゃん…。僕は君がいれば…」

"女子会"
女子による女子のための女子の会。
女子力向上のための集い。

雑誌にはそう書かれていた気がする。正直"女子力"というのも良く分かんないのだが、どうやら恋愛に対する戦闘力みたいなものらしいと周りの会話を聞いて判断する。

で、今は…あれだ、あれ。あー…恋バナ?というやつに花が咲いてるっていうか火花が散ってる。

「月9みたいな恋がしてみたいわねぇ…」

そう言って笑うお妙さんはきっと"女子力"が高いのだろう。

「そういえば智香は好きな人が居るアルか?」
「…え、私?」

突然の神楽ちゃんの質問。思わず聞き返した。
…それが分かれば、苦労はしないんだって。

「もしや、恋人が…」
「いやいやいや、九兵衛くんそんな…」
「貴方そう言うことに興味なさそうなふりしといてちゃっかり恋愛してるのね!?まさか職場恋愛!?」
「まじでか!マヨラーアルか、サドアルか、ゴリラアルかそれとも………」
「神楽ちゃん?」
「…なんかすごい印象薄いヤツが居た気がするけど、思い出せないからきっとどうでもいいモブに違いないネ」

山崎…。哀れな…。
じゃなくて!

「いや、沖田くんは弟みたいなもんだし、近藤さんは好きな人がいるわけだし、山崎とは友達だし、副長とは、とにかくナイ」
「なんだ。つまんないアル」

いやいやいや、神楽ちゃん。つまんないって…。
苦笑いしながらお茶を啜った。
さっちゃんさんも久兵衛くんもまだ疑いの眼差しを向けているが、あの人たちとどうこうなることは本当にありゃしないだろう。
だから胸を張っていればいい――そう思ったのだが。

「あら?この間お店にいらした方は?随分と仲が良さそうだったけど」
「 ぅ え!?」

にこやかにお妙さんにそう言われて、変な声が出た。変な意味じゃなく。

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