夢喰 | ナノ
アマゾン川に集う

「アネゴ!栖昆布この辺でいいアルか!」
「お妙ちゃん。やはりポテトチップの袋は開けておくべきだろうか」
「ちょっとォォ!なんで納豆がないのよ!」
「卵があるから卵焼きならすぐ作れますけど…」

ああ、やっぱり女の子はいいなあ。そう、私――宝生智香は思った。常日頃から男だらけのむさ苦しい職場で働いているせいで、こんな空気とは無縁の生活を送っているからだ。
そして買ってきたベルギーワッフルを皿に並べる。

今日はお妙さんの家で"女子会"なるものをする。
何故こんなことになってるかって?
…ことの始まりはあのヒゲオヤジが将軍にまた余計なことを吹き込んだことから。





「旅行?」
「そうそう。将軍様のおつきでいけって、とっつぁんが」
「またあのエロオヤジが何か吹き込んだんですかね…」
「それについてはもう何もいうな」

疲れきった副長の声がした。ご愁傷様です。

「それで、急だったから俺たちの泊まる部屋が大部屋一つしか確保できなくてな。流石に智香ちゃんは連れていけないんだ。他に部屋も取れないし」
「はい」
「すまんなあ」

申し訳無さそうに近藤さん。
ああ、貴方は全然悪くないのに!
「いえ、全面的に悪いのはあのちょいワルきどってるかなりワルオヤジですから。近藤さんが謝る要素は一ミリもないです」
「え?そ、そうかな…。あ、それで初めは俺たちの留守の間の真撰組を預かって貰おうと考えていたんだ。が、これだけ頑張ってくれている智香ちゃんがどこにも行けないなんてあんまりだろう。ということで非番をあげるから、遊んできなさい!!」

…うん。悪い人じゃないし。ていうかめちゃくちゃいい人なんだけど。それ以上に馬鹿なんだ。この人は。

別に私は留守番でもかまいやしないのに。そしてみんなが居なくなるなら非番と同等のストレスが解消されるというのに。

「近藤さん!聞いてねえぞ」
「いいじゃないかトシ。たまには休ませてやらんとな」
「遊びに…ですか」
「そうだ!泊まってきたっていいんだぞ!」
「ありがとうございます…」

とかなんとか。

まあ、とにもかくにもそんなわけで。
丁度お妙さんが休みだったこともあってここ、志村家にて女子会が開かれているわけである。因みに新八くんは万屋さんの所だ。少し悪いことをしちゃった気がする。

「なにしてるアルか智香。早くこっちくるアル」
「あ、うん」

かくして、"女子会"は始まりを告げるのである。

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