夢喰 | ナノ


食堂を出て一番隊の執務室を開けると隊士の神山がせっせと書類整理していた。彼は私を視認すると肩を振るわせ気まずそうに目を合わせんとしている。
確かにこいつが風呂に入ってきた瞬間はカッとなって怒ってしまったけど今はもう気にしていない。
よくよく考えればそんなことで怒れる権利のあるような女でもなかったし。

「私と沖田くんの分どこ?」
「そっ、そちらの右の机の上っス!!」

神山は無駄にでかい声で右にある机を指した。うわ…書類が堆く積み上げられてるあれかぁ…
違うと信じたかったから聞いたのに神山め。

「あー…それ終わったら沖田くんが部屋に来いだってさ」

本当は私が呼ばれてるんだけどこんな量終わる訳ないし、見たところ神山はそろそろ終わりそうだし。
私の言葉はそんな見解から生まれた物だったのだが神山は頬を赤らめながらおっ沖田隊長が…!?とかなんとかブツブツ呟いている。
お願いします神山さん私の風呂を覗いてしまったとき以上にあたふたするのはやめてくださいよこのサイトの主旨が変わっちゃうからね。

ため息混じりに私は机に向かった。
何度見つめても、穴が開くほど見つめても紙の量は変わらない。
うーん。一枚0、5ミリとしてざっと……考えるの、よそう。

その一時間後。
無事に書類整理の終わった神山は嬉々として部屋を出ていったのだがそのわずか10分後にボロボロになって帰ってきた。

「宝生さんっ!!今すぐ来いと沖田隊長が!」

瓶底めがねが割れてたり鼻血が出てたりするのはまあいいとしてなんでお尻を庇ってるの神山。何をしたの沖田くん。
まァどーせ自分が呼ばれたと勘違いしてた神山が沖田くんの気に障るようなことをいったんだろうと特に気にしていなかった。その腹いせに今度こそ私を連れてこさせようとしてるんだろうと予想もしていた。
全く持っていつも通りの日常だと。


「何の用件だって?」
「いえ!!松平長官がお出でですっ!!」

しかし日々はどうしようもなく波乱ばかりである。


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神山の扱いはぞんざいです。
因みに神山は意図せず風呂を覗いてしまいましたがメガネがなかったため何も見ていません。肌色の固まりしか見ていません。

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