その整った顔を残念に崩した実に怪訝な顔で沖田くんは聞き返した。
「あー…そうみたいでねェ。どーもお妙さん達に誘われちゃって。バックバンド?ってやつ。」
「まままままままままさかアイドルになって握手会であんなものやこんなものを握………」
「いやさ、頼まれたからには…ねェ」
「神山めりこんでんぞ」
「沖田くん気のせいだよ。…どうしたもんか」
やだね。どーにも最近の壁は柔らかくて。
「何迷ってんでィ。お前に出来るわけねーだろ。アイドルってのは確固たる自分が必要なんでィ。キャラブレブレで被りまくってる後付け鬱ヒロインに務まるもんじゃねぇよ。恥かくまえに止めときなせえ」
「まさかの私の存在から全否定!!」
「は?気づいてなかったのか?おいお前ら、こいつの特徴、長所短所、チャームポイント何でもいい。上げてけ」
「一見大人しいのに強くてとてもかないません!」
「はいOTAEとカブリ」
「強気なようで振り回されるのが好きです!!」
「はいSACCHANとカブリ」
「実は男性が苦手です!」
「はいKYUBEとカブリ」
「面倒見が良くてフォローが上手です!」
「はいTSUKUYOとカブリ」
「料理ができません!!」
「はいOTAEとカブリ2…」
「もうやめてえええぇぇぇ!!」
私は絶叫した。私のアイデンティティはいったいどこへ旅立ったのか。いや、最初から存在しないのか。
「分かったか。お前がバックバンドなんか行っても足引っ張って周りが霞むだけなんだよ。あの四人を足して割ったらお前ができるくらいの勢いなんだよ」
「ううううっ!!し、知らなかった…」
私は頭を垂れてがっくりと膝をついた。
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これはひどいですね…