ママ?



部屋に入り、着替えを旅行用鞄に詰め込む。


他に一応持った方が良いと思い、救急セットを入れてから部屋を出ようとした。

部屋を出ようとしてふと立ち止まる。

なんだか、引き出しが気になる。

何故だろう…何か、忘れているような…。

ふらりと机に近付いて引き出しを開けた。

開けて中を見ると、一ヶ月間、毎日きていた手紙と紙に包まれた何かがみえた。


「これは…フクロウが持って来たカギ、か?」


【この紙とカギは捨ててはいけない。いつも持ち歩いて欲しい。】

思わずカギを包んでいる紙に書かれていた言葉を思い出す。

溜め息を吐いて、溜め息の後一分程考える。

考えた後に荷物になる程重くは無いから一応持って行こうか…持って行って良い事も悪い事も無いだろうけど。

そう結論を出し、カギを鞄に放り込む。

放り込んだ後に部屋を見回して、その後に自室を出た。


部屋を出たら目の前に母さんが居て、色々迷っている目をしていた。


「…母さん?」


「リチェッタちゃん…ママはね、ママはあなたが大好きよ」


「どうしたんだよ母さん。何かあったのか?」


行き成りこんな迷っている表情をして大好きと言われて何が何だかわからない。

何もすれば良いかわからなかったが、母さんの目を見て


「私も母さんと父さん、ダドリーが大好きだよ。さあ、母さん…長旅になりそうな気がするから一応水を持っていこう?確か一昨日辺りに倉庫に置いていた筈だから」


「…そうね、何処に行くかわからないもの。食べ物や飲み物を持っていく事も悪くないわ…ママは全然思いつかなかったのにリチェッタちゃんはすごいわね」


「疲れているだけだ。母さん、早めに行かないと父さんが持って行く事を拒否するかも知れない。早めに詰め込んでさっさと車に積もう?」


頑張って笑みを作りながら母さんに言った。

その後、倉庫に行って缶詰や飲み物を見た。

倉庫の中身は案外少なく、一人一缶、若しくは二缶程しかなかった。

それを布製の袋に詰めて、玄関に持っていった。

玄関では父さんが玄関を開けようとしぐはぐしていた。

一昨日、父さんがドアに板を打ち付けたから出られなくなっているのだ。

ドアに穴が開くからあんまりやって欲しくはなかったのだが、表情が厳しかったので放っておいた。

後で後悔するのは父さんだと放っておいたが…これは絶対ドアが壊れるな。

暫くの間ドアの前で頑張っている父をみていたが、一応トイレに行っておいた方が良いかと思いドアの前から移動した。


トイレから戻ってくると玄関のドアが開いていて、ついでにダドリーが泣いていた。

どうして泣いているんだろうと思ったが、階段の方を見るとテレビが一台ぽつんと転がっていた。

…持って行こうとしたのか?

ケーブルとかないと見れないと思うんだが…持って行ったとしてどうやって見るのだろう。

ケーブルやコンセントが無い中、どうやって使用するのかが少し気になった。



 

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