出発の準備



私だけではなく、ハリー・ポッターにも手紙が来るようになってから三日目

私共々、家族全員色々と参っていた。

私への手紙は相変わらず一通だけ来るのだが、日を追う毎にハリー・ポッターへの手紙が掛け算式に増えてもう手紙を見るのも嫌になって来た。

一枚だったから我慢も出来たし、毎日早起きして手紙を抜き取る事が出来たのだな、と自分への手紙が一枚だけな事に少し感謝もしたりした。

今日は日曜日、普通の手紙は来る筈がない。

だから父さんはとても嬉しがっている訳なのだが、あの手紙は毎日来る。

そう、欠かさず毎日来るのだ。

一応確認として日曜日の朝に手紙がきているか見に行ったら手紙は日曜日もきていた。

という事は今日の手紙は48通来る筈。
日曜に来るという事で父は何か行動を起す筈だ。

だって昨日は誰も外に出る事が出来ないように玄関のドアを塞ぐ位参っていたのだ。

今日何か起こったら絶対行動を起す事が予想出来る。

自分の考えで少し溜め息を吐きながらキッチンへのドアを開けた。

少し寝坊の時間帯に入るが、もう別に気にしない。

夏休みだしな…

入って直ぐに父が新聞にジャムを塗っている所を目撃してその行動から視線を逸らし、近くにあったパンを手に取った。

なんだか早めに手に取った方が良い気がしたからだ。

私の勘はたまに当たる。

最近は特に当たる確立が高くなってきたので勘を信じるに限る。


「おおリチェッタ!おはよう、日曜だ!今日はいまいましい手紙なんぞ」


パンを手に取りモフモフと食べている私を目に留めたようで父は私に話しかけてきた。

返事をしようと思いパンから口を離すと何かが暖炉らへんから落ちてきて父の頭に当たった。

…手紙?

そう少し思った所で暖炉から手紙が大量に部屋に入ってきた。

その事に唖然として口がぽかんと開いたまま動かなくなったが、その手紙を宙で取ろうとしているハリー・ポッターを見て少し冷静になれた。

さっさと取り易い下から手紙を取れば良いのに。

奴を見て冷静になった所で家族の状況を見た。

皆は結構手紙に当たっているようだった。

私は場所が良いのか手紙は視界を悪くする程大量に降って来ていない。

そろそろこの部屋の外に出ないとやばいかも知れないな…手紙が落ちている所為で転びそうだ。

取り合えず手に持っていた朝食を口の中へつっこみ、ドアの方に近付いた所で


「出て行け。出ていくんだ!」


父が叫んだ。

その時に丁度ドアの取っ手を掴んで、思いっきり開けて廊下に出た。

私の後に続いてハリー・ポッターが飛んできた。

飛んできた事に驚いてドアを閉めてしまったが、手紙で視界の悪い状態で取っ手を探すのは大変だと思い慌ててドアを開けた。

ドアを開けると母さんとダドリーが出てきて、最後に父が出てきてドアを閉めた。

誰も居ない部屋からは何かが跳ね返るような音が止まずに続いている。

この部屋を開けた時には手紙で部屋が白くなっているのだろううな…開ける行動をしたくない。


「これできまりだ」


ジッとキッチンへのドアを見ていると父が喋り始めた。

喋り始めたのだから父の方を見た方が良いだろう、と思い父を見たら思いっきりヒゲを抜いている所を見てしまった。

その後景を見て直ぐに視線を逸らす。


「みんな、出発の準備をして五分後にここに集合だ。家を離れる事にする。着替えだけ持ってきなさい。問答無用だ!」


視線を逸らした状態で言われた言葉に一番に従い早足で自分の部屋に戻った。

あんな状態の父を正面から見て笑えば良いのか嘆いた方が良いのか。

それとも普通の対応をすればよかったのか…全くわからなかった。



 

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