どうかしてる。



ハリー・ポッターが二階に移った次の日

ダドリーの機嫌は悪かった。

ダドリーの機嫌が悪いと色んな被害が来る、その事に多少言動を注意しなくてはならない。

まだ私に被害は来ていないが、親などにはもう被害が出ている。

基本的にダドリーは私に八つ当たりして来ないが、たまに八つ当たりしてくる時がある。

そのたまにが今かも知れないから注意をして置くのは悪い事ではない。


ダドリーの機嫌が悪い中、父さんがダドリーに手紙を取らせに行かせた。

その所為で騒音を立たせながら玄関に向かっている。

…父さんも自分で取りに行けば良いものを。

少し呆れながら父さんを見るが、父さんはこちらを全くみないのでそんな表情は見られなかった。

因みに私はもう既に読まれたと思っているので手紙を取りに行ったりはしない。

見られているものを隠しても、もう起こってしまった事は仕方が無いのだ。


「また来たよ!プリペット通り4番地 一番小さい寝室 ハリー・ポッター様!あとリチェッタにも来てる!!」


ダドリーが大声で言った。

言った瞬間父が玄関に向かって…父さんとハリー・ポッターとダドリーで喧嘩が始まった。

…読みたいのなら言わなければ良いのに。

そう思いながらも、朝食のパンを黙々と食べる。

黙々と食べながら母さんを見ると、何かブツブツ言っていた。

ハリー・ポッターが何かすると結構なる事なので日常茶飯事だ。

ちょうどパンを食べ終わると、ボロボロになった父が入ってきた。

殴り合い引っ張り合い、しかも叫んだりしていたのでかなり疲れた表情だ。


「リチェッタ…部屋に戻ってくれ。ペチュニアと話す事があってね」


「…わかった」


話す事が気になったが、絶対に聞けないだろうと思い普通に従う事にした。

部屋を出た瞬間に二人は話し合いを始めた。

少し立ち聞きをしようかと思ったが、聞いても意味は無いだろうと思い自室へ戻った。



自室へ戻り、机に備え付けてあるイスに座った。

イスに座り窓から外を見ながらボーっとする。


暫く外を見ていたが、一度深呼吸して、昨日机に置いておいたカギを持ち引き出しのカギを開けた。

引き出しを開け、一ヶ月間溜め込んでいた手紙の中から適当に一枚取る。

少しの間手紙を見つめ、溜め息を吐いてから開封した。


【 親愛なるダーズリー殿

このたびホグワーツ魔法魔術学校にめでたく入学を許可されましたこと、心よりお喜び申し上げます。
教科書並びに必要な教材のリストを同封いたします。
新学期は九月一日に始まります。七月三十一日必着でふくろう便にてのお返事をお待ちしております。

敬具
副校長ミネルバ・マクゴナガル 】


内容はよく理解出来なかった。

教材のリストとやらも一応流し読みしたがこれも理解出来なかった。

魔法、とは何なのだろうか…私には分からない。

…もしかして魔法というのは私のあの変な力の事なのだろうか?

ハリー・ポッターも使える変な力…あの力は私はなるべく使わないようにしているが、ハリー・ポッターは自分が使っているという事にすら気付いていない。

その力の呼称が魔法、なのだろうか…いや、これは無理矢理自分を納得させようとしているだけなのかも知れない。

これは…ただの空想だ。

親に、兄にすら言う事が出来ないこの変な力を認めてくれる人間が欲しいだけだ。

こんな事を思うなんてどうかしてる。


溜め息を吐いて宙を仰いだ。


「本当に、どうかしてる…鳥の言葉が分かるようになったとか、私は普通の人間になりたいのに」





 

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