はじめては青あざでした。



ガリバーって、思った時が私にもありました。

はい。本当にガリバーのようです。ちょっと違いますが、似たようなものです。

けど、子供になるって、どういった状況ですか?

しかも性別変わってるとか、本当にありがとうございました。遠慮したかったです。ログアウトしたいです。

テレビ画面を見ていたら、何故かいきなり赤ん坊になっていました。

意味わかりません。

名前は犬千代です。わかりますか?前田利家になる予定の子です。

…夢だろう夢だろうと思いながら、ずっと泣いて過ごしてきました。

子供って、静かに泣けないもので、ギャンギャン泣いてて、お前、うるっさいから犬な。

って感じの命名でした。

最初っから呼ばれていたんですが、生まれた時からうるさかったんでしょうか…わかりません。

そんな私ももう数えで十二歳。よく今まで生きていたものだと思います。


「あ!犬千代さま!!」


「あ…まつ様…い、いかがいたしました、かッ!?」


数えで四歳の、まつ様によく殺されなかったな。って、本当に…よく、思います。




最近我が家に引き取られてきたまつ様は、父や兄達に懐かずに何故か私に懐きました。

もう、フラグ立ってるんですか…?というか、私利家さんになる予定ありませんよ…?

すでに婆娑羅に目覚めているまつ様は、とっても力が強くて強くて…私の腹は、まつ様のタックルに耐えるために腹筋をつけました。

初めてくらった時は本当に青あざでした!!

もうこんな思いしたくないと思って、今まで嫌がっていた鍛練をひたすらしましたよ。

武器を持つと手が震えるし、戦場に出たら即死でしょうけど、鍛練しました。最近手が震えなくなったので、ちょっと怖いです。

けれど、鍛練しても、利家さんにならなければ良い話ですから!

最近父上に僧になりたいと話をしていて、私も四男ですから別にいいかなーってなってます。

このまま行けば戦場に出なくて済むのです。


「…犬千代さま?」


「あ、申し訳ありません…大丈夫ですか?」


「いえ、犬千代さま、だいじょうぶにございまする!犬千代様がうけとめてくださいましたゆえ」


にこにこ笑っているまつ様に、あなたが飛びこんできたから、受け止める状態になるのは普通なのだけれど…と苦笑いを浮かべた。


「まつ様、何か御用でもございましたか?」


「ええ!犬千代さま、まつめに槍をおしえてくださいませ!!」


元気よく出された言葉に、どうしよう。と眉を寄せた。

私はまだ、武器を持つのは怖い。戦場に立つつもりはないし、なによりもまだまだ弱いのだ。教えられる技術なんてない。


「え、いや、その…私では力不足だと…まだまだ修行中でございますゆえ。父上や兄上はいかがですか?」


「犬千代さまがよいのです!さぁ、ゆきましょう!」


手を掴まれて、稽古場の方に引っ張られる。

婆娑羅者の力にはかなわなくて、流れのままついて行くことにした。

…うーん。私の方が身体は大きいし、男児なのだけれど…まつ様の力が強すぎるのでしょうか?



小さな子に武器を持たせるのも…と思ったので、武器はホウキになりました。

面白武器!を覚えていたのもありますが…つか、エモノをまつ様に持たせたら私が死んじゃいます…。


「犬千代さま…これで戦うのでございまするか?」


「え、えっと…ぶ、武士は色んな武器を使います。似たようなモノでございますれば、何でも使えるのです!使えなかったら武士の名折れですよ!!」


く、苦しい言い訳だ…と思ったのですが、まつ様は瞳をキラキラ輝かせて…え?輝いちゃうんですか!?


「なんと!犬千代さまはホウキをうまく操れるのですか!?」


「え…えぇ、ま、まぁ…」


「さすが犬千代さま!ホウキでさえもあつかえるとは、ぶしにございまする!!」


「は、はぁ…」


「まつめにも教えてくださいませ!ホウキのあつかいかたを!さぁ!!」


「え、えーと、ま、まずはですね。こういった構えで…腕はこう振ります。ホウキに振り回されないように、地に足をつけて」


「はいっ!」


誰かに教えるなんて初めてで、すごくドキドキします。

言った事をそのまま実行してくれるまつ様に、新しく妹ができたみたいで楽しいなぁ。と笑った。

機嫌良くホウキを振り回していると、ボォっと音がする。

…ボォ…ですか…?


「まぁ!犬千代さま、火が出ておりますわ!」


「え?」


ホウキを見ると、全体に火がついていた。

驚いて、ぼとっとホウキを落とす。


「え?って、しょ、消火しなくては!み、みみ、水!!」


「お、おちついてくださいませ!これは犬千代さまが出したのですから、けすこともできますわ!!」


「そ、そんな事を言われても、わかりませ…」


「それではまつめが、けしまする!!」


「ひ、火に風は逆効果です!」


若干道場に燃え移っていた火が、まつ様の風で少し広がる。

ど、どど、どうしよう!この火、ぜんぜん熱くないですけど、危ないですよね!?


「若様ッ!いかがいたしましたか!?」


「ひ、火が…!どうしたら良いんですか!?」


「だいじょうぶです犬千代さま、まつめがけしまするゆえ!!」


「え!?とりあえず、お二方は何もなさらないで!俺達が消しますから!!」


騒ぎを聞きつけた臣下の方が消してくれて、なんとかなりました。

こ…怖かったです…なんでホウキの先から火が出たんでしょう…?

火薬でも仕掛けてあったのですかね。危ないです。


先程、まつ様が何か言ったような気がしますが、気のせいですよね!



 

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