私は作法委員



崖が多い場所に立つのが好きです。

人生の最後に逃げ回って、崖から落っこちた時の快感は最高でした。

傷みも快感に変わった気がして、これが最後なんてすばらしいと思ったものです。

けど、これを言うと怒られてしまうので、内緒です。


変な事は百も承知


天然のふりをして、近くに来た後輩と遊んで。

僕の好きな落っこちる事を体験させてあげたのに、彼等は嫌だったようですね。ですがこれは試練です。

かまってあげられなかった後輩に対してかまってあげるのですから、ボランティアですね。


御先は真っ暗


生というのは短いのですから気をつけて生きなければならないという事がわかったでしょう。

そういえば、何年か前にもこういう風に遊んだ子がいましたねぇ…黒髪の子で、よく叫ぶ子でした。

可愛いのでイジメたくなりましたね!あの子にはお化けと言われなかったので、私が死人だとは気付かなかったのでしょう。

ちょっと阿呆です。

こんなところに下級生の忍たまがくるわけないじゃないですかぁ〜来た理由も迷子でしたから、実に阿呆でした。

追いかけ回した所為で、迷子になった後輩二人を連れて、忍術学園についた途端、懐かしい音がしたのでつい侵入しちゃいました。

ざくざくと聞こえる土の音。

後輩の作るつたない落とし穴や塹壕に、わざと落ちるのが好きでした。

だって、落っこちたあとに喜んでくれるんです。

私が落ちたら周りのみんなは、微妙な顔をして少し怒って。

それも良いけれど、喜んでくれる人が居るというのはどういう状況下でも嬉しいです。

落っこちるのが好き。その事を知っているのは、同い組の友達だけで。

間抜けな後輩だとみんなは笑って、間抜けな先輩と下は笑って。

まったく、爆笑モノです。

こそこそと音の近くに寄って、土を掘っている人間の背中を見ます。


「大きくなっちゃいましたね」


ぼそりと呟いた言葉は、自分ながら切ない感じが出て良い感じがしました。

でも実際寂しくなったので仕方ありません。

髪色、横顔、どこをどう見ても、私の一つ下の後輩でした。

もう井桁模様はまとっていません。

背丈は私を超して、自分の成長が止まっているのがわかります。

あの子の掘る穴にはまって、成長過程を見るのが好きでした。あの調子で掘っているという事は、学園内にあの子の掘った穴がたくさんあることでしょう。

少し穴にハマって遊びましょう。幽霊になっても落ちる感覚は好きなのです。地面に求められているのがわかります。

そういえば、後輩と遊ぶと同室の彼はいつも笑ってくれました。

穏やかな笑顔が好きだったから喜八郎と遊ぶのも悪くないと更に思ったのでしょうね。

あ、後輩の名前言っちゃいました。うっかりです。

あとで、教室を色々覗いてみましょう。私みたいに学園の中に入ってる友がいるかもしれません。楽しみです。



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