違うのは髪の長さだけだった。




立花仙蔵は、定期的に入れ代わる。
その事を知っている人間は少ないだろう。
いつのまにか、入れ代わっているので同室の潮江文次郎でさえ気付いていないようで、何とも言えない。
入れ代わったからといって、性格が変わる訳ではないし、普段の生活と変わる所はなにもない。
誰にもきづかれず、ひっそりと交代する。
何故、俺が立花が入れ代わるかを知っているかと言うと、偶然の産物だ。
用具委員の一年坊主と立花が出掛けた現場にたまたま出会い、爆発した立花を見、炭になった立花を見た。
そして炭になった立花を処理する立花を見た。


それだけ。


何故立花が二人いるんだ?
少し離れた場所にいたので目を凝らすと、一瞬で、立花は地面に穴を掘り、立花から衣服をはぎ取って穴に落とし埋めた。
そしてボロボロになった衣服を見に纏い一年坊主たちの元へ元気よく走って行った。
なにが起きたか理解ができず、思わず埋められた立花を思わず掘り返したが、立花仙蔵だった。
炭になって見た目は散々だが、骨格は丸々立花だ。六年間ともに過ごしたので間違いはない。
では、先程走り去った立花仙蔵は誰だ?
首を傾げながら学園へ戻ると、骨格もなにもかも同じの立花が煤だらけの状態で黄昏れていた。

違うのは髪の長さだけだった。


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