久々知
豆腐を持ってゆぅらゆぅら。
変な動きをしているあなたにくぎ付けで、豆腐にもくぎ付けになりました。
「おやぁ、豆腐が好きなのかい?私も好きなのだよ、さぁおいでおいで」
俺が迷子になって泣いている時に、あなたにあいました。
豆腐をもってゆぅらゆぅら
不思議な動きをしたあなたに、どういうわけか惚れてしまって、ついて行きました。
先輩、先輩。
俺、豆腐が好きなんです。
でも、先輩のほうがもっと好きです。
人間と食物、くらべてみたら丸分かりじゃないですか。
先輩はどうなんですか、先輩。
まわりに先輩を知っている人がいないんです。
おかしいですよね、けど、本当にいないんです。
俺しか知らない、何で、なんで?
先輩は俺をかばっていなくなった。なのに、そのかばった事実さえもみんな知らないんです。
みんなのように、俺の中からも薄れて行ってしまうんですか、先輩。
「ずるい、ですよ」
先輩が好きだった食べモノしか、思い出せない。
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