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「みんな、ちょっといいかしら?」
天女様が風呂に行った所を見計らって、口を開く。
近くにいないだけで色が薄まるのはお見通し。
だから、今だけ。それに…同学年の色コースが天女様についていってこの場にいないから、私でも言い包められる。
「天女様は、確か…こちらで雑務をする事で、学園に住んでいらっしゃるのよね?」
視線が集まるのに若干緊張するけれど、それを出さずに優しい表情を全面に出す。
ええ、ええ。私は天女様に嫌悪感なんて抱いておりませんよ?
「…最近くの一教室ばかりにいるでしょう?そろそろクビを切られてしまうわ。食堂のお手伝い、再開していただきましょう?一緒にいたいじゃない」
天女様の白魚の手が…なんて、反論が出る前に、一緒にいたいという願望を口に出す。
私はそうは思ってはいないけれど、ぼそっと小さく言う事で現実味を持たせる。
そうすれば、疑いながらも賛成だと言ってくるのは当たり前で、そもそも最上級生の私に言われたら下級生は反論できないわ。
だって縦社会ですもの。上に逆らうのはよくないわ。ねぇ、そうでしょう?そう教えてきたものねぇ。
「はい。そうですね!綾瀬先輩」
そう言う返事しか受け付けておりませんの。
不満そうな表情は隠してちょうだい。先輩からの鉄拳、欲しいのかしら。
「ありがとう。ああ、あとから来た二人にも言っておいてね。山本シナ先生と学園長先生の会話、盗み聞きするの大変だったのよ?」
うふふ、と口に手をあてて、笑うのは疲れた時。
そういう癖が自分にあるのは気付いているの。だからその癖を披露すれば、あらあら。
みんな騙されて…よい子ねぇ。
色コースの二人を騙せるとは思えない。だから、後輩達を使って騙すわ。
使えるものは使いますの。使えなかったらそれは失格だものね。
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