1 おなじすがた ゆいいつの友




(笑)(笑)


見た目はいっしょ、声はちょっと違うけど、笑ってる姿は一緒

一緒一緒

おなじすがたのおともだち


(笑)(笑)


…あれ、おれは?

おれは、おれは?

いらないの、いらないのかな。

あらあら、あらら?


「雷蔵」


声をかけても気付かれない。

あらあら、あらら

あっちの姿のあれはなぁに?

あれはあれだよ

鉢屋三郎

雷蔵のおともだち、顔を貸してるおともだち

おれ、おれは?おれはなんだっけ?

おれは、雷蔵の双子の兄で、顔も声も一緒

みわけがつかないから、そこらの村の若者の顔を借りてるおれは、雷蔵のおにいちゃん

なのに、あらら?

雷蔵ったら、もしかしておれの事忘れちゃった系?

声をかけて、話をして…あらあら?


「うーんうーん。だれだったっけ…」


これはひどいよ雷蔵

仮面を取って、おんなじ姿

これでわかる?わかるよね?


「あ、なんだ三郎か」


ぽん

と手をうって、納得した表情をして、あらあら。酷い弟さんだよ。

仕方ないので三郎のまねっこをしたけども、これは酷い。

さみしくて泣いちゃうよ、いいんだね?

うずくまって泣いていると、誰かが駆けてきた。

足音も雷蔵に近いから、雷蔵かと思って顔をあげると、ああちがう。ちがうなぁ。


「ら、雷蔵!?どうしたんだ!誰かに何か言われたのか?だとしたら私が仕返しに言ってく…雷蔵?」


「なんでもないんだ。三朗。ちょっと疲れちゃってね」


おまえもかい。鉢屋三郎。あらあら。仕様がないから、雷蔵のフリを致しましょう。


まったく、君達揃ってそっくりね。

おれが紛い物みたいで嫌になるよ。


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