大好きを疑わないで
ぼくは、綾瀬がだいすきで、綾瀬もぼくを大好きで?
だいすきだから、ぼくは綾瀬の瞳をみるだけで、何が言いたいかわかったし、綾瀬もぼくの声色でぼくがなにを言いたいのかわかってた。
けど、ぼくは綾瀬の瞳を見ても、何を言ってるのかわからなくなっちゃった。
どうしよう、どおしよう。
ぼろぼろ涙がこぼれていく
わからない、わからない。
ぼくは綾瀬がわからない。
「どうして、どお…して、なんで…?」
「平太?」
綾瀬がいなくなって、お部屋で考えた。
わからない、わからないよ。
怪士丸がぼくに声をかけてくれるけれど、ごめんね…いま、それどころじゃないの…。
ぼくは、綾瀬がだいすきなのに、もしかして、だいすきじゃない?だからぼくは綾瀬の言いたい事がわからないの…?
「怪士丸…ぼく、ぼくね…綾瀬の言いたい事わかんなくなっちゃった…ぼく、綾瀬の事きらいになっちゃったの…?」
「そんなことないよ」
ぎゅっと抱きしめてくれる怪士丸の身体は角ばっていて痛い。
けど、あったかくって、なんだか安心した。
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