て
なぜ潮江文次郎は弱っているの?
その言葉の、返事は単純な話、もんちゃんのお友達が恋をしちゃったってわけ。
しかも盲目的に。
委員会や授業は、仕事ちゃんとしてますアピールできちんとやってるんだけど、もんちゃんを構う時間が減っちゃったの。
見えないが構ってちゃんなので、構われないと目立たない所で拗ねる。
なのに、みんな惚れちゃった女の人の近くでギャーギャー喧嘩してるから、もんちゃんは仲間はずれにされてしまったと目立たない所で落ち込む。
ただライバルをけ落とそうとしてるあれを何でか楽しそうに見えるらしい。
基本的にもんちゃんを構ってくれるお友達は攻撃と防御がないと遊べないからだと思うけど、あのライバルをどう出し抜くかってのはもんちゃんにとって遊んでいるようにしか見えないそうだ。
私には見事にバイオレンスな現場にしか見えない。
強がってみんなに構って!と言えないもんちゃんは、六年生のあいだでただ一人あの、天女様に惚れていないという状況に陥っていた。
しかし、間者の疑いが晴れていない女にベタ惚れって、六年生にもなってみんな馬鹿なんじゃないのかしら?
もんちゃんと手を繋ぐか迷っていた時に、下調べをしてみたけど、あれは演技じゃなかった。
くのたま全員で調べたもの。本当だわ。
一目惚れをしたのが、一人
間者の疑いを持って接してたのが二人
ドジな所が可愛いと言ったのが一人
胃袋を掴まれたのが一人
惚れなかったのが一人
繊細を言うと、一目惚れをしたのが、立花仙蔵
間者の疑いを持っていたのが、善法寺伊作と七松小平太
ドジな所が可愛いと言ったのが、中在家長次
胃袋を掴まれたのが、食満留三郎
惚れなかったのが、潮江文次郎である。
立花に至っては何も言えない。
善法寺と七松はいつのまにかほだされて惚れていたっぽい。
中在家は、ドジっぷりを放っておけなくなり手を貸すようになったら何時の間にか惚れていた。
正直、この中で一番アホな惚れ方をしているのが、胃袋を掴まれた食満留三郎であると私は思うの。
疑っていたはずなのに、食べ物を貰って食べるとは、さすがアホのは組である。
因みに他の学年にもチョロチョロ惚れてしまった脱落者はいるようだ。
アホである。
この状況は流石にヤバイと、学園長からくのたまに通達が来た。
にんたま側には、情報が漏れるとガードが固くなって面倒なので知らせていないとのこと。
「もんちゃん。私達頑張るからね」
「なにをだ」
「内緒」
くすりと笑うと、もんちゃんは首を傾げた。
必要になれば言って良いらしいけれど、それは最終手段よね。どこから漏れるか分かったものじゃないもの。
学園内にはどこにでも耳があるの。ほらそこどこそこ。
目の前に居るもんちゃんだって、うっかり目にも耳にもなってしまう可能性がなくもないわ。
だって、もんちゃんうっかりさんだものね。
[ 33/68 ]
[*prev] [next#]