はじめての墓参り


新しくおいらが入った墓には誰もこない。

寂しい寂しい。

仲がよかったみんな、きてくれない。

寂しさからか、おいらは泣きたくなるけど、おいらは死人だから涙なんて出ない出ない。

ただただ心を凍らせて巡る世界を見つめるだけでよ。

冬に入る少し前に戻る世界に、死んだおいらは気づいたけど、生きてる奴は気づかない。

気づいてない、はずだったでよ。


「勘右衛門でよ?」


「綾瀬?」


暗い顔で、おいらの墓に血塗れの勘右衛門がやってきた。


「おひゃひゃ、勘右衛門はおいらのこと、覚えてたてた?墓参りでよーおいら嬉しい嬉しい」


眉間にしわを寄せておいらの事をじっとみる

わなわなと青白く唇がふるえている。

ああ、血がたりないない。これじゃあ勘右衛門は死んじまうでよ。


「覚えてるよ、綾瀬。俺のこと迎えにきてくれたの?」


「勘右衛門がバカなこと言ってるでよーおいらと違ってまだまだ勘右衛門は生きるべきべき。墓参りはやっぱ今度今度!学園に帰るでよ」


「綾瀬、俺学園は嫌なんだ。繰り返すのを、知ってるのは俺だけで、気が狂いそうだ」


「おひゃーおいらの話聞いてないでよ」


「もういやなんだ。俺はここで死ぬ」


嫌な笑みを浮かべて、勘右衛門は首をかっきって倒れ込んだ。


「何事でよ…おいらついていけん」


ぽっくりいきなり死んでしまった勘右衛門を前に呆然とつぶやいた。

きゅるんと、世界が音をたてる。

目の前にあった勘右衛門の死体は跡形もなく消えていた。

…まだ、冬になっていないのに巡ったでよ、なにが起きてる?



 

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