尾浜勘右衛門(おはま かんえもん)

みんなで歩いてる時に、すれ違った団体に、ん?と違和感を覚えて振りかえった。

振りかえった先には、俺と同じで振りかえった男子がいて、目と目があった瞬間に笑いあった。

男子は仲間に別れを告げて、こちらに近づいてくる。俺も雷花達に先に言っててと告げて、男子に近づいた。

主に鉢屋が興味深そうにみてくるけど気にしない。


「おひゃー!久しぶりでよ!勘右衛門スカートとかとかうけるでよー」


「あはは!!ひっさしぶりー!綾瀬は学ラン似合わないねー!」


ゲラゲラと腹を抱え合って、何年もあっていないとは思えないくらい自然に、お互いの服装にケチをつけた。


「しょーがないでよ!学ランは指定指定!きないと怒られるれる!」


「俺もスカートは指定指定!俺女の子だからズボンはくと怒られるんだよー」


「まじまじ?みんなして女装して遊んでるのかと思ったでよ!」


「あっははー残念ながら俺達はみんな女の子になっちゃってさー綾瀬も女かと思ったのに残念だ!」


「おひゃひゃ、残念無念無念!おいら女になったの久々知だけだと思ってたでよ」


ふと出た兵理の名前にきょとんとする。


「兵理と知り合いだったの?」


「いやいやー今生の兄上の彼女彼女!チラミでよーおいら爆笑しちまったでよ!というか名前違う違う?勘右衛門は勘右衛門?」


「兵理は気付かなかったんだね。俺は勘右衛門ってまんまだよ!無理矢理男の名前つけられたんだ。これが今流行りのドQネームって奴?」


「おっひゃーわかりやすくてよいよい!おいらもまんま綾瀬でよー!」


綾瀬に、変わってしまった同級生の名前を言う。


「覚えられんでよ」


「真顔で言わなくていいよ。俺は今の名前を呼ぶけど、みんな前の名を言ってるからね。覚えなくても問題ないさ」


「それはそれでよくないでよー」


「それもそうだよねー」


首をかしげあって、止めていた足を進める。

向かう場所は、メールで知らされた場所だ。


「おいら行っても平気なのなの?」


「別に問題ないよ、同じ同級生だったじゃない」


「でもおいらレギュラーじゃなかったでよー死亡したモブモブ」


「平気平気。みんな止まってた世界は覚えてないから」


何年も一年間を繰り返した前世を覚えてるのは勘右衛門だけだった。

聞いたことはないけれど、みんな綺麗サッパリ忘れているはずだ。


「勘右衛門長生きしたした?」


「したよー止まった世界はちゃんと動いたんだ」


「それはよかったでよー」


にこっと笑った綾瀬が、見えなくなった時から世界は動き出した。

何かを取り戻すように、急激に動く世界に戸惑いつつ精一杯生きたのが前世だ。


「でもお前は迎えにはきてくれなかったよ」


「おひゃーすまないでよ。おいらいつのまにか輪廻まわっててそれどころじゃなかったなかった」


「綾瀬が迎えにくる前に転生してしまった。約束破ったー」


「今会えたから約束は守った守った。おいらはえらいえらい」


棒読みで言うと、返答は棒読みで。

昔と全く変わらない言い合いに、また笑った。


「今生きてて楽しいよ」


「それはよかったでよーおいらも楽しい楽しい!また会えるとは実は思ってなかったでよ」


「まじ?」


「まじまじ」



→久々知相手主人公視点

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