会計委員会
ぱちぱちと算盤を弾いて、黙々と計算していく。
部外者の俺がやっても問題ない訳はないが、やらんよりもやる方がマシなのでしょうがない。
一番重要な計算や書類は一応の委員会で終わらせているようだし、俺がやってるのは下級生には難しいレベルの計算だ。
ちょっと前は会計委員会だったし、別に問題ないと神埼は思っているのだろう。じゃなかったら俺がやってもいいのか?って聞いた時に泣きながら肯定してくる訳がない。
ふぅと息を吐いて、見直しを終えた。他の委員会で何か問題があったら直ぐに駆けつけねばならないから、さっさと終わらせるに限る。
次の帳簿に手をつけようか。と手を伸ばす前に、ちょっくら厠にでも行こうかと立ち上がる。
「神崎ー厠行くぞ」
「へ?」
「一年達も区切りが良い所でちょっと休んどけ。俺は神崎と厠行ってくるから」
「「はい」」
「唐木田先輩!私はそこまで尿意を感じていません!!」
「俺は夜が怖いから一緒に行ってくれ。さー行くぞ、今から行くぞ」
神埼の手を引いて厠まで連行する。
集中してると俺だって神崎がいなくなったのわからんし、尿意を感じさせる前にやらせとくのが狙いだ。
「神崎ー変な方向進むな」
「進退は疑うことなかれです!」
「じゃあ俺の進退を疑うなよー俺が行きたい厠はそっちの厠じゃねーんだ。そっちの厠はたぶん混んでる気がする」
「混んでないかも知れませんよ!」
「いや、たぶんオバケ出る。そんな気がする。怖いからあっちの厠に行こう」
「唐木田先輩四年ですよね?」
「もちろんそうだ」
神崎を好きに進ませると大変面倒なので、俺が怖いからと理由をつけて引っ張って歩く。
理由を説明すればきちんとついてくるのに何でみんな気付かないんだか。
頭ごなしに怒っても反論するだけだぞ。そんな意味のない口論、俺はしない。
「神崎ーいるかー?いるかー?いなくなるなよー俺怖いから」
「待ってます!!」
「おーもう少し待ってろー」
さっさと終わらせた神埼に声をかけて移動させないようにする。いちいちめんどいけど、これしないと何時の間にか消えてるからやらないといけない。
手を洗って、よし清潔!と神埼の手を引いて食堂へ行く。
「唐木田先輩どこへ行くのですか?」
「食堂のおばちゃんに夜食頼んでるんだ。一年達の分も含め貰いに行くぞ。夜は長いから飯ないと俺が死ぬ」
「おお!」
「嬉しいだろー俺は嬉しい。夜食って素晴らしいよな」
「はい!!」
「今日は一刻くらいは寝かせてやるから張りきれよ。明後日は爆睡できるくらいにしてやるから」
あいている手でわしゃわしゃと神埼の頭を撫でる。おお、サラサラだ。
アホ面してるくせにこのさわり心地、なんとも言えん。
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