不安と期待、ぐちゃぐちゃ。1



掃除をしていると、どこからか視線を感じた気がした。

何だか気になって、きょろきょろと周りを見渡す。

…私なんかが視線に気づけるわけなんかないか。気のせいだろう。

私は仕事のできないタダ飯食らい。視線に気付けるはずなんかないのだ。

むしろ、気付けたらこわい。気付いたって事で間者だと思いこまれて殺されたらいたたまれもない。

想像したら寒気がして、ぶるっと体をゆすった。

恐怖からの寒気ではないと思いこむとして、もうそろそろ夕飯の時間だ。早く掃除を終わらせないと危ない。

夜に出歩くのは危ない。そう思いこんでいる。だって夜に外出たことないの。間者だと思われて殺されたら…と思ったら怖くてトイレにも行けない。

外に出るのはお風呂くらいだ。トイレはその時についでによっているから、まだ粗相はしていない。

粗相をしたらと考えるだけでも恐ろしい。こわい。

毎日毎日よくここまで恐怖心が持続できるなぁと自分に関心しつつ、いや、関心しちゃ駄目なんだけども。とぶちぶち心の中で呟く。

口に出したら死にそうな気がして何も言えません。

今日はここで終了かな。と目星をつけた所まで到着して、集めた落ち葉を袋に入れる。

これは移動して、肥料を作る所にぽいっとおいておけば、学園の生徒達が勝手に肥料を作るらしい。因みに見た事はない。


「重い…」


よっ、と声を出して袋を担ぐ。今日は大量だ。どすどすと重い音を立てながらフラフラ歩く。

けれど、これをしなければ私は学園を追い出される。こんな死亡フラグがハンパない所に居たくはないのだけれど、外に出たとしても私は職を得ることはできないだろう。

まだ年齢的には茶屋の娘のアルバイトとかができるかも知れないけれど、私は人見知りだ。確実に粗相する。

この時代、仕事を手に入れるのは底辺難しい。たとえ恐ろしくても、こわくても、御飯と寝る場所が確保できているココを離れることはできない。

私はまだ死にたくないの。本当に死にたくない。家に帰るまで死ねない。いや、ごめん。家に帰っても死にたくない。

肥料を置く所が見えてきた。よかった。これでココまで運んできた重みから解放される!!

ホッと息を吐いて、いつもの通りばさばさと袋の中身を出した。

こんな汚い格好で食堂に入ったら殺傷処分されてしまうかも知れないので、さっさと部屋に戻って着替えよう。


と、その前に…元の道を戻って行く。さっき木に立てかけておいたホウキを回収しなければ。



 

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